ビノテクノ EZM-正立天頂ミラー(左右ペア)

 

ビノテクノ EZM-正立天頂ミラー(左右ペア)

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138,000円 (税込 151,800円) 152,000円 (税込 167,200円)

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BinoTechno(ビノテクノ) 天体望遠鏡パーツ EZM-正立天頂ミラー(左右ペア)

主な特長

  • 2インチアイピース使用可能
  • 金属部分はすべて超ジュラルミン製,CNC加工機による削り出し品
  • ミラー以外のアライメントはすべて部品精度で保証⇒調整レス
  • ミラーのアライメントはビノテクノ独自の方法で精密調整済み
■EZMの機能と原理
EZM(正立天頂ミラー)は双眼望遠鏡を作る上でもっとも重要な部品です。その機能は3つあります。
1つめは像の180度回転です。屈折望遠鏡を直視すると像は倒立像です。これを180度回転させて正立像にします。
2つめは見口の90度折り曲げです。これは特に高度の高い天体を見るときに必要な機能です。通常の天頂ミラーや天頂プリズムもこの機能を持っていますが、像が裏像になります。
3つめは光路の横方向シフトです。成人の目幅は一般的に60ミリ弱から70ミリ強です。それより直径の大きい鏡筒を2本並べるとそのままでは両目で見ることができません。この横方向シフトの機能のおかげで目幅を超えた外径の鏡筒でも双眼望遠鏡を作ることができます。 EZMはこれら3つの機能をたった2枚の平面ミラーで実現しています。対物レンズからやってくる光軸に対して2枚のミラーを特定の位置に配置するとこの3つの機能が得られます。具体的には光路が次のようなベクトルになるようミラーを配置します。 前提:望遠鏡は水平、鏡筒内の光軸をX軸、X軸に水平直角方向をY軸、上方直角方向をZ軸とすると、 対物レンズから1枚目のミラーまでのベクトル=(1,0,0) 1枚目のミラーから2枚目のミラーまでのベクトル=(1,ルート2,1) 2枚目のミラーからアイピースまでのベクトル=(0,0,1) となります。
※ この方式はメガネのマツモトの松本龍郎氏が1980年ごろ発明されました。

■EZMの構成
一般的なEZMは次の部品で構成されます。
  • 鏡筒接続部(鏡筒に接続する部分)
  • 第1ミラーケース(鏡筒側の三角ケース,底面にミラー配置)
  • 中間リング(この厚みで横シフト量を決めます)
  • 第2ミラーケース(アイピース側の三角ケース,底面にミラー配置)
  • アイピーススリーブ(アイピースをセットする部分)
鏡筒接続部の端面からアイピーススリーブの端面までの光路の距離を光路長と呼びます。鏡筒のバックフォーカスがこの光路長以上ないと合焦しません。

■EZMのアライメント要素
先述の光路のベクトルを実現するため、EZMの構成部品には次のようなアライメント要素が求められます。
  • 各ケースの頂角=60度
  • 各ミラーの入射角=反射角=60度(参考:通常の天頂ミラーは45度)
・ 第1ケースと第2ケースのねじれ角度=ARCCOS(1/3)≒70.53度
これらのアライメント要素のうちどれかひとつでもずれていると正確な「像の180度回転」と「見口の90度折り曲げ」の両立ができません。

■EZMのX-Y光軸調整ネジ

右側EZMの第1ミラーケース底面にはX-Y光軸調整ネジがあります。これは双眼望遠鏡を両目で見たとき左右の像を一致させるために使います。X側の調整ネジを回すと右側の像はX(左右)方向に移動し、Y側の調整ねじを回すとY(上下)方向に移動します。 ただしこれは先述のアライメント要素のずれを修正するための機能ではありません。この調整ネジはユーザーの個体差や、EZMとアイピースのセンタリングずれなどを修正するためのものです。 人間の眼球位置は左右対称でなく多かれ少なかれ非対称なので、ピント位置が人によって異なるのと同様、左右の像が一致する位置も人によって異なります。それをこの調整ネジで修正します。 この調整ネジを使うことで先述のアライメント要素はずれることになりますが、その調整量が微小(調整ネジ±1/3回転程度)なら「像の180度回転」への影響はわずかです。 弊社製EZMを使って双眼望遠鏡を自作された際、この調整ネジを半周以上回さないと像が一致しないときはEZM内部のずれを疑う前にまずはその他のアライメント(鏡筒の平行度や接眼部のたわみなど)をチェックしてください。 また、実際に双眼望遠鏡を見ながらこの調整ネジを操作するとわかりますが、調整ネジの操作によって左右の像がある範囲に近づくと突然一致して見えます。これは人間の脳の働きによるものです。この脳の働きは多少のずれを許容してくれる一方で、目合わせによる精密な調整を困難にしています。


■視野回転の一致

先述のEZMのアライメント要素や後述の鏡筒平行のどれかがずれていると、X-Y光軸調整ネジで像の視野中心を一致させても視野の回転角度が一致せず不快な見え方になります。この不一致は星よりも昼間の遠くの景色、特に水平あるいは垂直な構造物を見たときに気づきやすいです。敏感なユーザーは0.5度のずれでも気づくようです。 この不一致をX-Y光軸調整ネジで調整することはできません。自作EZMによる双眼望遠鏡でこの視野回転の不一致が発生した場合、EZMの各アライメント要素や鏡筒の平行、接眼部のたわみを再チェックしてください。 特にもっともこの視野回転に影響を与えるのはEZMの第1ケースと第2ケースのねじれ角度です。このねじれ角度のずれ量と視野回転量はほぼ同じになります。つまりねじれ角度が0.5度ずれると視野回転量も179.5度になったり、180.5度になったりします。ちなみに第1ケースと第2ケースを接続するリングの直径が60mmの場合、0.5度はリングの周上で0.26mmに相当します。かなりデリケートであることが分かっていただけると思います。 次に影響を与えやすいのは鏡筒の平行や接眼部のたわみです。これらがずれている状態でX-Y光軸調整ネジを使って無理やり像の視野中心を一致させると必ず視野回転の不一致が発生します。

■鏡筒選択時の注意

どの市販鏡筒を選択して双眼望遠鏡を作るかはオーナーにとって一番の関心事です。光学性能が優秀であることはもちろんですが、次のような点にも注意が必要です。

【接眼部の剛性】
EZMは比較的重く、またアイピースの位置が接眼部の軸中心からオフセットされるので、十分なたわみ剛性、ねじれ剛性が必要です。
【バックフォーカス量】
EZMの光路長より10ミリ以上長いバックフォーカス量が望ましいです。市販鏡筒で十分なバックフォーカス量があるモデルは少ないです。
【鏡筒の最大外径】
最大外径でEZMの必要光路長が決まるので、小さい方が望ましいです。3枚玉の対物レンズの場合最大外径が大きいのでバックフォーカス量の足らない場合が多いです。
【鏡筒の真円度】
最近のモデルはまず大丈夫ですが古いモデルではときどき板を丸めて作ったものがあります。このような鏡筒は平行にセットするのが難しいので双眼望遠鏡には向きません。

■鏡筒連結機構

2本の鏡筒を連結する機構にとってもっとも大事な機能は鏡筒を平行に保持することです。先述のとおりここで発生した非平行をEZM側で調整することができないからです。 自作の双眼望遠鏡で鏡筒連結部にメーカー純正の鏡筒バンドを使う事例がありますが、取付け穴のガタが大きいので注意が必要です。例えばよくある鏡筒バンドの取付けは35mmピッチのM8ボルト2本です。この取付け穴は概ね直径9mmなので、計算すると最大1.6度右か左に振れます。さらに反対側の鏡筒が反対側に振れると最悪3.2度の非平行になります。さすがにここまでひどい状態の取付けにはしないと思いますが、できるだけ精密な平行状態が保てるよう工夫が必要です。

■目幅調整機構
人によって目幅は異なるので、双眼望遠鏡には目幅を調整する機構があります。
その方式には次の2種類があります。
【鏡筒スライド方式】

鏡筒連結機構に鏡筒そのものを平行移動させる機構を組み込んで目幅調整を行う方式です。鏡筒がそれほど重くない小口径から中口径(13cmぐらい)に適しています。この機構には常に鏡筒の平行を保つ剛性と精度が必要です。目幅を変えてもピント位置が変わらないので初心者にも扱いやすい方式です
【ヘリコイド方式】
EZMの第1ミラーケースと第2ミラーケースの間に直進ヘリコイドを取り付けて目幅調整を行う方式です。この部分で目幅調整を行うので鏡筒連結機構はシンプルになります。ただし第1ミラーケースと第2ミラーケースのねじれ角度が常に一定に保たれるよう、ヘリコイドにはそれなりのねじれ剛性と精度が必要です。目幅を変えるとピント位置が変わるため操作には多少の慣れが必要です。
■架台

双眼望遠鏡は見口を常に水平に保つ必要があるため、架台は経緯台が適しています。赤道儀に載せる場合は左右の鏡筒を水平に保つ大がかりな機構が別途必要です。 双眼望遠鏡専用の経緯台は市販されていませんが、使えそうなものを以下に紹介します。

【笠井トレーディング AZ-3経緯台】
シンプルな片持ちタイプの経緯台です。微動装置付きなので高倍率での手動追尾も可能です。

【iOptron AZマウントPro】
片持ちタイプの自動導入経緯台です。自動追尾もできるので高倍率での観望も可能です。

【ロスマンディ経緯台 AZ8】
剛性の高い片持ちタイプの経緯台です。片側で15kg搭載可能です。

【SkyWatcher AZ-EQ5GT】
赤道儀にも経緯台にもなる架台です。双眼望遠鏡を取り付ける場合は経緯台モードで使います。自動導入&自動追尾が可能です。

【ケンコートキナーAZEQ6GT】
前述のAZ-EQ5GTの1サイズアップ架台です。

【ビクセンHF2経緯台】
10cmぐらいまでに使えるシンプルなフォーク式経緯台です。使用例も多いです。

【国際光器ブルドッグ経緯台】
剛性の高いフォーク式経緯台です。エンコーダ取り付けが可能なので導入支援が使えます。



主な仕様
推奨鏡筒サイズ
~11cm
第1ミラー(対物側ミラー)
第2ミラー(接眼側ミラー)
有効径35mm,面精度(PV値)1/12λ以内
反射面はアルミ増反射コートまたは誘電体コートまたは銀メッキ
裏面成型後に反射面を研磨およびコートしたEZM専用の特注品
横方向シフト量 38mm
光路長 149.2mm (2インチサイズアイピース使用時)
151.2mm (アメリカンサイズアイピース使用時)
左右ペア使用時の最少目幅 58mm (ただしアイピースの最大外径が58mm以下の場合)
鏡筒側接続 2インチバレル (50.8mm)
対応アイピース 2インチサイズ (50.8mm), アメリカンサイズ (31.7mm)
X-Y光軸調整ネジ 左右ペアで発注時のみ、右側EZMの第1ミラーにX-Y光軸調整ネジ装着
付属品 アメリカンサイズアダプタ, 防塵キャップ
重量 1,250g (左右ペア,アメリカンサイズアダプタ含む)
型式 アルミ増反射コート:EZM3535-38-2B-2S-AL-P
誘電体コート:EZM3535-38-2B-2S-DI-P
銀メッキ:EZM3535-38-2B-2S-AG-P

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