2018年の見どころ

2018年の見どころ

2018年最大の天文ビッグイベントといえばやはり、
15年ぶりとなる今夏の火星大接近ではないでしょうか。

地球は365日、火星は687日の公転周期をもち、約2年2か月ごとに太陽から見て一直線に並びます。この時が地球から見た「火星の接近」ですが火星の公転軌道は楕円形をしています。、タイミングよく火星軌道と地球軌道が近いところで並べば「大接近」となりますが、遠い時には「小接近」になり、地球―火星の距離は2倍近く異なります。今回の接近は「大接近」、それもかなりの「大接近」です。15年前2003年8月27日の接近は「6万年ぶりの大接近」と話題になりましたが、実は今回の接近も、それにほぼ匹敵する近さです。
 
地球と火星の距離 視直径 等級
前回の大接近/2003年8月27日 5576万km 25.11秒 マイナス2.9等
今回の大接近/2018年7月31日 5759万Km 24.31秒 マイナス2.8等
小接近の例/2012年3月5日 10078万Km 13.89秒 マイナス1.2等

2003年の大接近時には天文ファンの手によって極環(極の白い氷)や火星表面の模様を写し取った写真が多数撮影されました。当時はまだデジカメやWebカメラを使用した撮影技法が主流でしたが、ZWO社やQHYCCD社の製品をはじめとする惑星撮影用CMOSカメラが普及した2018年の大接近では、さらに素晴らしい火星撮影に成功される方が出現されると期待されています。


8/21火星
2003年8月21日(25時30分頃)/撮影:吉田隆行氏 



さらにこの2018年夏が凄いのは夜空が「惑星だらけ」なことです。年と季節によっては惑星がひとつも楽しめないこともあるものですが、2018年の夏は「全惑星」が楽しめます。例えば7月12日夕方の西の空。普段は太陽近傍にあって観測しずらい水星は東方最大離角となり、日没時に10度程度の高度を保っています。その時金星は20度以上の高度があります。南の空では木星が、南東には土星があり、程なくして東の空から今夏の主役・火星が燃えるようなド迫力で昇ってきます。 そんな具合で水星→金星→木星→土星→火星の豪華惑星リレーが楽しめます。(あまり観測対象になりませんが、夜半頃からさらに→海王星→天王星が出現しますので、太陽系全惑星が一夜でコンプリート出来ます。)

2018年の見どころ

ステラナビゲーターVer.10で作成

  • 水星 7/12 東方最大離角
  • 金星 8/18 東方最大離角
  • 火星 7/31 地球に最接近(7/27が衝)
  • 木星 5/ 9 衝
  • 土星 6/27 衝
  • 天王星 10/24 衝
  • 海王星 9/8 衝

火星が最接近する7月31日の夜空・・・惑星だらけです!

2018年の見どころ

ステラナビゲーターVer.10で作成

そして2018年の見どころは惑星だけではありません。

流星・・・8/13のペルセウス座流星群は新月で条件絶好、12/14のふたご座流星群は上弦前の月廻りでこれも好条件です。

ペルセウス流星群 2016年
ペルセウス流星群 2016年/撮影:吉田隆行氏 


彗星・・・ジャコビニ・チンナー彗星(21P)は近日点通過の9月10日が地球最接近日と重なり好機。12月13日に近日点を通過するウイルタネン彗星は12月16日に地球まで0.078AU(約1167万Km)まで大接近しますが、その天空上の座標がなんと、すばるとヒヤデス星団の間!その後も冬の星雲星団に絡みながら東進して12月23日にはカペラに1度角まで迫るなど、冬の星空を駆け抜けながら絶好のシャッターチャンスをたくさん提供してくれることでしょう。

ホームズ彗星
ホームズ彗星/撮影:吉田隆行氏 


難易度: 易 ★☆☆☆☆ 難易度: やや易 ★★☆☆☆
難易度: 並 ★★★☆☆ 難易度: やや難 ★★★★☆ 難易度: 難 ★★★★★

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