AX VISIO 10x32 JPN 試用レポート

AX VISIO 10x32 JPN 試用レポート AX VISIO 10x32 JPN
試用レポート

2024年スワロフスキー・オプティック社より発表の世界初のスマート望遠鏡 AX VISIO 10×32JPNの発売に先行して、ハクバ写真(㈱)様よりデモ機をお借りし、大阪城公園にて試用しました。多機能なAX VISIO 10×32 JPNの紹介と試用レビュー、大阪城公園でのバードウォッチングの様子をお伝えします。

AX VISIO 10×32 JPNの概要

AX VISIO10×32JPNは倍率10倍、口径32mmの双眼鏡にカメラ内蔵した世界初のスマート双眼鏡です。スマートフォンやタブレット端末をWifiおよびBluetoothを用いてAX VISIO10×32JPNを接続することにより、内蔵のカメラで撮影することはもちろんのこと、アプリを連携させることにより視野内にいる野鳥の名前をレンズに表示させることも可能です。見る・撮る・調べる・共有することをAX VISIO10×32JPN1台で完結させます。


AX VISIO 10×32 JPNインプレッション

外装はNL PUREと同様のラバー素材が使用されており、手になじむ質感です。センターにメニュー選択用のノブがあり、各モードはこのリングを回すことにより選択します。決定ボタン「●」や選択ボタン「V」、電源ボタン類は右手側、センターには双眼鏡のピント調整が位置しています。カメラのピント調整は決定ボタンを半押しすることにより、オートフォーカスします。双眼鏡本体の見え味はスワロフスキーEL シリーズに近く、色収差も感じることがありませんでした。持参したEL 10×42 明るさや視界の広さを比較しても遜色なく、スワロフスキーらしい明るくすっきりとした見え味を楽しむことができます。カメラおよびバッテリー内蔵のため本体の厚みはもちろんのこと、重量も約1000g のため女性が長時間使用するには少し厳しいと感じました。残念ながら現時点では三脚の取り付けができないため、今後に期待したいと思います。今回はWifi 経由で写真を常にダウンロードしながら使用しましたが、5 時間程度持ちました。Bluetooth 接続のみの場合は1 日程度持つようです。バッテリーは別途追加購入できますので予備として持ち運びしておけば安心です。


フィールドでの試用

今回は大阪城公園にて試用を行いました。事前に「SWAROVSKI OPTIK Outdoor アプリ」アプリをインストールして、wifi・Bluetooth 経由でAX VISIO10×32JPN とスマートフォンと接続をします。


AX VISIO 10×32 JPNは同時に5つの端末を接続することが可能ですが、現時点では写真・ビデオは1端末のみがダウンロードできる仕様となっています。


搭載のメニューは ・鳥マーク:野鳥識別
・カメラマーク:写真撮影・ビデオ撮影・Live view
・リスマーク:動物名識別
・ターゲットマーク:指定した場所への誘導
・方位磁針マーク:方位・高度の表示
・スマホマーク:他アプリのインポート
・星Iマーク:他アプリ連携
・星IIマーク:他アプリ連携

スワロフスキーより提供のアプリ以外もインポートが可能のため、今後の拡張性が期待できる余白を残した製品となっています。

今回はこの中より、
① 撮影(写真・ビデオ)
② 野鳥名識別
③ 視野の共有 をご紹介します。

① 撮影(写真・ビデオ)・Live View
操作はとても簡単です。メニューをカメラマークに合わせて右側レンズ視野内の赤枠内に被写体を入れ、決定ボタンを半押しでオートフォーカスし、全押しでシャッターを切ります。撮影した画像は「SWAROVSKI OPTIK Outdoor アプリ」に自動転送され、撮影した画像のサムネイルがスマートフォン画面上に表示されます。また、アプリ内でLive Viewを選択するとカメラの画像がリアルタイムに見ることができ、アプリ側でシャッターボタンを押すことも可能です。


撮影画像はGALLERYに



4/15 アオバト/大阪城公園/AX VISIO にて



4/15 ムクドリ/大阪城公園/AX VISIO にて



Live View 画面 QR コードで共有します



4/15 アオサギ/大阪城公園/AX VISIO にて

アプリ上で写真のサムネイルを確認することはできますが、写真を拡大するためにはAX VISIO10×32JPNストレージから写真データを端末へインポートする作業が必要です。この際にデータの容量や通信環境により時間がかかる場合がありました。


アオバトの動画


② 野鳥名識別
双眼鏡右側のレンズ上に赤い文字で識別した野鳥名を表示させるモードです。 「SWAROVSKI OPTIK Outdoor」に加えて「Merlrin Bird」をインストールします。この2つのアプリを連携させることにより、野鳥の識別を行います。メニューを鳥マークに合わせ、識別対象を視界の中央にとらえ、決定ボタンを押すと認識されると右側レンズ上に赤文字の英語表示で野鳥名が表示されます。「Merlrin Bird」アプリ側では識別された野鳥名が写真とともに表示されます。こちらは日本語設定すると、日本語名で確認できますのでご安心ください。


左:イメージ写真 右:『Merlrin Bird』画⾯


ただ、識別対象の前に障害物があると識別できないことがありましたので、少しコツがいると感じました。コツをつかむと、野鳥名の答え合わせをしていくようで楽しく使用することできました。

③ 視野の共有
観察対象にマーカーを決定ボタンでセットすると一度視野から外しても、矢印の誘導でマーカー位置まで双眼鏡の視野の中央に導くことができます。

初心者の方や野鳥が見つけにくい場所にいる場合に有効であると感じました。もちろん、対象が移動した場合は自身で導くことが必要です。
今回、AX VISIO10×32JPNの各機能の事前情報は入れずに試用しましたが、上記操作は感覚的にできるため、およそ30分程度で慣れることができました。また、モバイルデータ通信が行えない場所にて使用する場合は「Merlrin Bird」からデータを事前にダウンロードする必要があるため、その場合は事前に準備することをお勧めします。


まとめ

AX VISIO10×32JPNはこんなこともできるのか!と驚きと感動にあふれる試用会でした。スマートフォンと連動させるためのデジタル機器への慣れは必要ですが、AX VISIO10×32JPN本体の操作はいたって簡単です。また、余白を残しているのは他アプリを入れる余裕を残していることです。今後、様々なアプリと連動されることを期待しています。 課題となる点としては、重量感です。カメラ・バッテリー内蔵のため仕方ありませんが、例えば双眼鏡+カメラと三脚を持っていくのと比べるとコンパクトに携帯することはできそうです。また、環境によって変わるかもしれませんがデータの転送速度はもう少し期待したいところです。


監修・協力 :
久下直哉(くげなおや)
バードガイドKUGEオフィス(bird-kuge.com)
1976年生まれ。大阪府在住。
鳥見歴35年/ツアーガイド歴21年

兵庫県立コウノトリの郷公園元飼育員(2000年~2002年)。鳥類標識調査員。日本野鳥の会大阪支部幹事。旅の本棚、モンベルアウトドアチャレンジ、朝日カルチャー中之島教室にてバードガイドを担当している。 西日本を中心とした探鳥地をベースに日本全国幅広くガイドしている。時々、雑誌BIRDERに執筆協力したり、最近では『はじめての野鳥観察』(JTBパブリッシング出版)にて関西の探鳥地案内を一部、執筆。
好きな鳥:ツバメとオオジュリンとコウノトリ
ツアーガイド:
・旅の本棚|初心者でも安心 野鳥ガイドと行く初めてのバードウォッチング(tabihon.jp)
・モンベルアウトドアチャレンジ|バードウォッチング (montbell.jp)
執 筆: はじめての野鳥観察(JTBパブリッシング)

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