ネイチャーショップKYOEI 大阪店

天体望遠鏡や本格双眼鏡、 天体観測・バードウオッチング機材の製造・販売。協栄産業株式会社。昭和34年創業。

  • マイページヘログインご利用案内お問い合せサイトマップ
カートをみる

FAX注文書
支払い方法:銀行振込/郵便振替/代金引換/低金利ローン/カード払い
低金利分割払
Askar(アスカー)AstroArts(アストロアーツ) ASTRONOMIK(アストロノミック) boader planetarium(バーダープラネタリウム) BORG(ボーグ) Canon(キャノン) CELESTRON(セレストロン)Chroma(クロマ)
CORONADO(コロナド) FUJINON(フジノン) GITZO(ジッツォ) IDAS(アイダス) ioptron(アイオプトロン) jobu design(ジョブデザイン) Kasai Trading(笠井トレーディング) K-ASTEC(ケー・アステック)
Kendrick(ジムケンドリック) Kenko(ケンコー) 国際光器 Kowa(コーワ) KYOEI(キョウエイ) DiGiSCO.com(デジスコドットコム) LAOWA(ラオワ) Leica(ライカ)
LOSMADY(ロスマンディ) LUNT SOLAR SYSTEMS(ラント ソーラー システム) Manfrotto(マンフロット) Nikon(ニコン) PENTAX(ペンタックス) QHYCCD SAMYANG(サムヤン)SBIG(エスビーアイジー)
FLI(Finger Lake Instrument) SIGHTRON(サイトロン) SkyWatcher(スカイウォッチャー) SLIK(スリック) SWAROVSKI(スワロフスキー) タカハシ(高橋製作所) Tele Vue(テレビュー) Unitec(ユニテック)
Velbon(ベルボン) Vixen(ビクセン) WATEC(ワテック) WILLIAM OPTICS(ウィリアムオプティクス) Wimberley(ウィンバリー) ZEISS(ツァイス) ZWO 取扱いメーカー一覧


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート


1.2022年以前からMGEN-3をお使いで、プレートソルバーを装備した最新ファームウエアにアップデートしたい!
2.MGEN-3付属のSDカードを誤ってフォーマットしてしまい、起動ができなくなってしまった!
という方に向けて、ラセルタMGEN-3のファームウェアのアップデート方法をご紹介します。

※この方法は総代理店・協栄産業株式会社が輸入する正規輸入品のMGEN-3(起動時にLacertaロゴと共に ” Powered by KYOEI ”ロゴが出るもの)の新品をラセルタホームページでお客様自身でデバイス登録することでご利用いただけます。非正規品や中古品などは対象外です。
(MGEN-3はメーカーデータベース上でシリアル管理されており、ラセルタ社がどの代理店へ卸した個体なのかが把握されています。KYOEI正規品は登録から3年間、無償で自由にファームウエア等をダウンロードできます。)



1. ラセルタの公式ページにログイン


最新のファームウェアは、ラセルタの公式サイトのサポートページからダウンロードする ことができます。初めての方は、まず、ユーザーアカウントを作成しましょう。以下が、 ラセルタのサポートページのアドレスです。 https://support.mgen-autoguider.com/


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート




2.アカウントの作成


アカウントの作成には、メールアドレスとパスワードが必要です。アカウント作成後、
ご自身のMGEN-3を登録しましょう。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



My Devicesの中のRegister Your Deviceでご自身のMGEN-3のIDナンバーとシリアルナ ンバーを入力し、Registerボタンを押すと、登録されます。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



なお、IDナンバーは、MGEN-3起動後、オプションの中のSystemで番号を確認することが できます。また、シリアルナンバーは、MGEN-3本体の背面に記載されています。 また、登録すると、約3年間、サポートページでファームウェア等をダウンロードするこ とができます。有効期限が切れた後に再びサポートやファームウェアのダウンロードを受 けるには、有効期限の更新(有料)が必要になります。



3.keyfile とファームウェアのダウンロード


MGEN-3 の登録が完了したら、keyfile をダウンロードしましょう。keyfile は、登録した MGEN-3の右隣にリンクが表示されています。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



ファームウェアは、一旦、Support ページの一番上に戻り、右下のFirmwares、Language Fileの中からダウンロードすることができます。 2023年5月現在、最新のFirmwareは、Ver1.30.1です。ご自身のMGEN-3のファームウェ アを確認し、該当するファームウェアをダウンロードしましょう。




4.FTDI ドライバーのダウンロード


MGEN-3とパソコンをUSBケーブルで接続する前に、FTDI社の公式ページからD2XX用デバ イスドライバーをダウンロードして、パソコンにインストールしましょう(既にインスト ール済みの場合は不要です)。インストールの手順は、以下の通りです。
① パソコンのブラウザでFTDI 社のドライバダウンロードページ 「https://ftdichip.com/drivers/d2xx-drivers/」にアクセスする。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



MGEN-3とパソコンをUSBケーブルで接続する前に、FTDI社の公式ページからD2XX用デバ ② ページをスクロールダウンし、表の右端のComments欄から、リンク「setup executable」 をクリックし、実行ファイルをダウンロードする。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



③ ダウンロードした「CDM212364_setup.zip」ファイルを展開し、
exe ファイルを実行してドライバーをインストールする。



5.ファームウェアのアップデート


MGEN-3本体にカメラを接続し、USBケーブルでパソコンと接続します。ファームウェアの アップデートは、BOOTモードで行いますので、MGEN-3コントローラーで、ブート画面を開 きましょう。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



MGEN-3のESCボタンを長押しするか、起動後、オプションのTurn OFFの下に表示されて いる、「Stop & go to BOOT」ボタンを押すと、ブート画面が開きます。 次に、パソコン作業に移ります。ラセルタのページからダウンロードした、Zip ファイル 「Mgen3_Firmware_1-30.zip」を展開しましょう。展開すると、いくつかのフォルダが表示 されますが、Appsフォルダの中から、「MG3_Updater_v.1.3.exe」を実行します。


ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



上のようなダイアログボックスが開きます。Firmware file に「Firmware_1- 30/LMG3_fw0130_1.bin」、Key file にダウンロードしたkeyfile を指定しましょう。 右下の「Update Firmware」ボタンを押すと、アップロードが開始されます。更新中はパソ コンの電源やMGENの電源を切らずにお待ちください。「Done」と表示されれば、終了です。
※右上のRead Device infoボタンを押すと、現在ご使用のMGEN-3のファームウェアのバ ージョンを確認できます。



6.Plate Solver 用のデーター


ファームウェアの更新は以上で終了ですが、Plate Solving機能を使用するには、天体デ ータベースファイルをMGEN-3内部のSDカードに書き込む必要があります。 MGEN-3ハンドコントローラーとパソコンをUSBケーブルで接続し、ラセルタからダウンロ ードしたファイルのAppsフォルダの中にある、「MG3_PCApp_v.1.30.exe」を起動しましょ う。



ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



ダイアログボックス左下に、File Systemボタンが表示されます。そのボタンを押すと、 ファイルマネージャーが立ち上がります。



ラセルタMGEN3ファームウェアアップデート



画面左側のファイルマネージャーを使い、データーを書き込むフォルダ(/MG3/DB/)を開き ます。その後、左下の「Upload Sky DataBase file (plate solving)」ボタンを押してく ださい。画面に進行状況が表示され、データベースファイルの書き込みが始まります。
万一、MGEN-3 のSD カードのデーターを誤って消してしまった場合も、この方法でSDカードを初期状態に戻すことが可能です。






レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。



セレストロンEdgeHD800-CG5鏡筒と K-ASTEC TR74-ASI6200_M42 オフアキシスガイダー接続装置のインプレッション

セレストロンEdgeHD800-CG5鏡筒と K-ASTEC TR74-ASI6200_M42 オフアキシスガイダー
接続装置のインプレッション

セレストロンEdgeHD800-CG5 鏡筒(以下「セレストロンEdge」)は、セレストロン社が製造している口径203㎜(8インチ)、焦点距離2000㎜の天体望遠鏡です。
セレストロンEdgeには、同社のセレストロンC8を更に進化させた光学系が採用されており、天体観望から天体撮影までオールマイティに使用できる望遠鏡です。今回は、レデューサー用のオフアキシスガイダーをご紹介しながら、天体撮影時の性能を中心にレビューしました。


シュミットカセグレン式を進化させた光学系

セレストロンC8はコンパクトで大口径が得られるシュミットカセグレン望遠鏡ですが、収差の影響で視野周辺の星像が悪化してしまいます。その点を改善するため、セレストロンEdgeには、補正レンズがバッフル内に設けられました。補正レンズにより、中心像はもちろん周辺まで鋭い星像を結ぶように設計されています。

上は、セレストロンEdge(右側)と同社のセレストロンC8を並べた写真です。外観はほとんど同じですが、セレストロンEdgeの主鏡背面にはミラーの固定機構が採用されるなど、より天体撮影に使いやすい構造になっています。

なお、重さはEdgeの方が若干重く6.4キロ(C8は5.7キロ)です。接眼パーツなどは共用できるものが多く、C8からのステップアップ用としてもお勧めできる望遠鏡です。

セレストロンEdgeで天体観望

口径20センチの集光力は、肉眼の 841 倍もあります。セレストロンEdgeで春や秋の夜空を眺めると、小口径の望遠鏡では見えなかった暗く小さな系外銀河も確認することができます。

都会からの天体観望で人気の木星や土星でも、口径20センチの集光力や解像力が発揮されます。同じ倍率の小口径と比べると、覗いた瞬間、像が明るいと感じ、木星の縞模様や土星の環も明瞭に確認できます。

また、セレストロンEdgeの星像は、中心だけでなく視野周辺もシャープなため、星の集まった散開星団や球状星団の観望にも適しています。中心像のシャープさに関しても、セレストロンC8と見比べて違いは感じられず、中心から周辺まで引き締まった星像が広がる様子が気持ちよく感じられました


天体撮影時の性能

セレストロンEdgeのシャープな星像は、電視観望や天体撮影用としても魅力的です。直焦点では約F10と暗いですが、オプションの補正レンズ「レデューサーレンズ 0.7X EdgeHD800用」を使用すれば、F値が約7まで明るくなり、天体撮影や電視観望に使いやすくなります。

上は、レデューサー使用時の星像です。イメージサークルはAPS-Cサイズの範囲ですが、写野周辺まで星は丸く保たれ、星像も均質です。

周辺減光を表すフラットフレーム画像(下画像)を見ると、写野隅に近づくにつれて暗くなり、周辺減光が感じられますが、それほど急激な減光でありません。フラット補正を適用すると、綺麗にフラットになりました。

このように天体撮影用としても魅力的なセレストロンEdgeですが、焦点距離が長く、ミラーシフトが発生しやすい構造のため、ガイド鏡を使ったオートガイド撮影では、ガイドエラーに悩まされることが多く、以前からレデューサー使用時用のオフアキシスガイダーの発売が待ち望まれていました。

そして今回、K-astec社の協力で完成したのが、Edgeレデューサー用のオフアキシスガイダーシステムです。 ※セレストロン社から純正のオフアキシスガイダーが発売されていますが、直焦点(F10)専用で、レデューサー使用時には使えませんでした。


K-ASTEC オフアキシスガイダー接続装置 TR74-ASI6200_M42

/SHOP/zwo-asi2600mc-pro.html 下の写真は、セレストロンEdge用レデューサーの後ろにK-ASTEC オフアキシスガイダーTR74-ASI6200_M42経由でオフアキシスガイダー(以下:オフアキ)を取り付けた様子です。

オフアキは、ZWO社のM68オフアキとK-AstecのM42Fテーパーリング接続キットを組み合わせた構造で、ZWO社のCMOSカメラ(ASI2600MCPなど)を使用したときに最適な光路長になるよう調整されています。

オフアキとCMOSカメラの間には、ZWO社のM54フィルターボックスが取り付けられています。このボックスを使えば、フィルターの交換を容易に行うことができます。通常フィルターから、デュアルナローバンドフィルターへの交換もスムーズです。

M54フィルターボックスとカメラの接続は、オフアキシステム専用のM54接続プレートを介して固定します。接続プレートのネジ部分には回転方向に溝が彫られており、固定後、オフアキのプリズムの位置に合わせて、カメラを回転させて微調整できるようになっています。

実際にオフアキを使用してテスト撮影を行ってみました。ガイド鏡を使った撮影では、5分露光でも星が流れて写ることが多く、ガイド成功率が低かったところ、オフアキに変更すると、2倍の10分露光でも星が点に写るようになりました。風がなければ100%に近い成功率で、安心して撮影を続けることができました。

オフアキでよく問題になるガイド星に関しても、オフアキの3本のねじを緩めれば、容易に写野を回転できるので、適当なガイド星を探しやすくなっています。春の銀河撮影でもガイド星が見つからなくて困ることはありませんでした。

オフアキではイメージーサークル端の星をガイド星として選ぶため、ガイド星が若干いびつになる場合がありましたが、オートガイドへの影響は感じられず、ガイドは正常に行われました。気になる場合は、オフアキの固定ネジを緩めれば、オフアキのプリズムの位置(深さ)を微調整して、星像の良い範囲でガイド星を選ぶことも可能です。


セレストロンEdgeで撮影した春の銀河

テスト撮影の後、セレストロンEdgeを郊外に持ち出し、オフアキとASI2600MCProカメラを使用して天体撮影を行いましたので、作例をご紹介します(掲載画像は周囲をトリミングしています)。

上は、おおぐま座のM81銀河の写真です。300秒露光で10枚撮影しましたが、星像はすべてシャープで点像を保っています。

次は、かみのけ座のNGC4565銀河の写真です。エッジオン銀河の代表とも呼べる美しい銀河で、460秒露光で8枚撮影しました。こちらも星像は丸く均質です。

最後は、りょうけん座のM51銀河の写真です。子持ち銀河の愛称で知られる銀河を、460秒露光で8枚撮影しました。銀河の外側に広がる淡いガスも写り、見ごたえのある写真になりました。


都会でも撮影を楽しめるEdge鏡筒

M54フィルターボックスにデュアルバンドフィルターや光害カットフィルターを挿入すれば、都会でも天体撮影を楽しむことができます。下は、アイダスのGNBフィルターを取り付け、ASI2600MCProで撮影した、M51銀河の写真です。

郊外で撮影した画像と比べると、淡い部分のコントラストは劣るものの、都会でも系外銀河の撮影を楽しむことができます。

上の画像は600秒露光を10枚重ね合わせたものですが、露光時間を増やせば、郊外で撮影した写真に近づくでしょう。惑星の観望だけでなく、Edgeを使って都会からの撮影も楽しめれば天体趣味の幅も広がるのではないでしょうか。


まとめ

セレストロンEdgeと鏡筒外付け式のガイド鏡を組み合わせて天体撮影したところ、ガイド成功率の低さに悩まされました。そこでK-Astec社に相談し、改良を重ねて、今回ご紹介したオフアキシスガイダーが完成しました。

フィルターボックスも装備され、非常に使いやすいオフアキだと思います。天体撮影の成功率を上げるため、是非ご活用いただければと思います。

今回は、春の銀河の写真を取り上げましたが、セレストロンEdgeは、夏の星雲のクローズアップ撮影にも適した光学系です。レデューサーとオフアキを使って、三裂星雲のクローズアップや、M16星雲にある創造の柱を狙ってみてはいかがでしょう。撮影対象の幅が広がり、天体撮影が更に楽しくなると思います。

レビュー著者 吉田隆行氏のサイトはこちら→天体写真の世界

ASIAIRアプリで電視観望

ASIAIRアプリで電視観望


ASIAIRを使った電視観望や天体撮影が、天文ファンの注目を集めています。このページでは、ASIAIRを初めて使う方向けに、ASIAIRの概要から撮影方法まで、順を追って説明します。


ASIAIRとは


ASIAIRは、ZWO社が開発したスマートWi-Fiデバイスです。2023年春現在、ASIAIR PlusとASIAIR miniが発売されており、これらに同社のカメラ等を繋ぐと、無線LAN経由でスマホやタブレットから機器を操作することができます。




撮影用のパソコンを別途準備する必要がなくなり、スマホやタブレットで、どこでも気軽に電視観望や天体撮影を楽しむことができます。また、無線LANを使用するので、離れた場所からでも望遠鏡一式を操作することができます。例えば、寒い屋外に機材を設置し、暖かい家の中や車の中にいながら撮影することも可能です。
以下、ASIAIR Plusを用いて、設定から操作方法を説明します。ASIAIR Plus本体の大きさは、スマホを分厚くした程度で、本体側面にはUSB端子やDC出力端子等が設けられています。



ASIAIRで必要な機材


気軽な天体撮影や電視観望を可能にしてくれるASIAIRですが、ASIAIRで制御できるのは、一部のデジカメを除くと、ZWO社が製造している天体用CMOSカメラのみです。他社製のCMOSカメラには対応していませんので、ご注意ください。
下に、ASIAIRで電視観望や天体撮影を行う際に必要となる機器をまとめました。既に天体望遠鏡や赤道儀をお持ちの場合は、それらを使用することができますが、一部の赤道儀には対応していないので、対応機種一覧表を見て確認しましょう。

  • 天体望遠鏡
  • 赤道儀(ASIAIRが対応している機種)
  • ASIAIR Plus または ASIAIR mini
  • ZWO社ASIシリーズのCMOSカメラ(一部のデジタル一眼レフカメラでも可能)
  • スマートフォン、またはタブレット(ASIAIRアプリが動くもの)
  • ZWO社の電動フォーカサー EAF


SXP2赤道儀 ASIAIR Plus-32G/256G ASI 2600MC Pro EAF
スタンダードセット/
アドバンスセット


電動フォーカサーEAFは必ずしも必要ありませんが、タブレットやスマホ上で遠隔でピントを合わせることができ、便利です。AF機能も使用できるので、是非お勧めしたい機器です。また、天体撮影を行う場合は、この他にZWO社のオートガイダーが必要になります。
スマホやタブレットは、iPhone・Androidのどちらにも対応しています。個人的には、スマホより画面の大きいタブレットの方が操作しやすいと思います。


コラム:ASIAIR PlusとASIAIR miniの違い


現在、ASIAIRには、Plusとminiの2機種があります。両製品の大きな違いは、PlusにはLANポートがある点と、USB3端子が装備されている点です。
ビクセンのSTARBOOK TENのように、有線LAN接続が必要な場合は、Plusを購入しないと赤道儀を接続することができません。また、6Mピクセルを超えるASIカメラ(ASI6200/ASI461等)やデジカメには、miniは対応していないため、それらの場合もPlusを選んでください。
USB端子は、USB3が装備されているPlusの方が、データー転送速度が速くなります。ただ実際には、タブレットやスマホに画像が表示されるタイミングは、無線LANの速度に左右されるため、そこまで大きな差は出ないようです。詳しくは機能比較表をご覧ください。



ASIAIRの使い方


アプリのインストール まず、アプリストアから、ZWO社のアプリ「ASIAIR」をダウンロードし、スマホやタブレットにインストールしてください。




アプリストアで見つからない場合は、ZWO社の公式サイトのソフトウェアのページから、QRコードを読み込んでダウンロードすることも可能です。なお、アプリは無料で使用できます。



ASIAIR Plusを望遠鏡に装着


次に、ASIAIR Plus本体を天体望遠鏡に取り付けましょう。ASIAIR Plusにはアリガタ金具が装備されているので、ファインダー台座などに取り付けると固定しやすいと思います。


USBケーブルで機器を接続


カメラやフォーカサーとASIAIR PlusをUSBコードで繋ぎましょう。カメラは転送速度の速いUSB3.0端子に繋ぐとよいでしょう。 また、撮影したデーターを保存するため、microSDカードを差し込んでおくことをお勧めします。ASIAIR Plus本体にデーターを保存することも可能ですが、容量が限られているため、別途microSDカードを用意する方がよいでしょう。


※ASIAIR miniにはmicroSDカードスロットは設けられていません。本体にデーターを保存します。


電源ケーブルを接続


ASIAIR Plus本体には、DC12Vの電源取り出し端子があります。付属の電源ケーブルを使って、これと機器を繋ぎます。


ただし、ASIAIR Plusの電源出力は限られているので、赤道儀のような大電流が必要なものは、別途、電源を取る方が安心です。入力電圧が不安定になると、ASIAIR Plusの動作も不安定になるので、その点に注意しましょう。
最後に、ASIAIR Plusの電源端子にDC12Vの電源ケーブルを接続します。AC/DCアダプターは付属していないため、別途準備しましょう。


ASIAIR Plusの電源を入れてスマホに接続


以上の準備が整ったら、ASIAIR本体の電源スイッチを入れましょう。しばらくすると、ビープ音が鳴り、ASIAIRが起動します。
ASIAIRが起動したら、スマホの設定画面を開けて、ASIAIR Plusとwifiで接続します。ネットワーク名(SSID)とパスワードは、ASIAIR Plus本体の裏側に記載されていますので、それを参考に接続してください。



なお、ASIAIRを使用する際、ご自宅のインターネット回線等に接続する必要はありません。ASIAIR Plusとスマホを単純に接続すればOKです。 ASIAIR Plusとスマホが繋がったら、スマホにインストールしたアプリASIAIRを立ち上げましょう。


ASIAIRの設定


アプリが立ち上がると、観測場所の入力画面や接続されている機器の一覧が表示されます。まず初めに、観測場所の緯度経度を入力しましょう。


次に、接続されている機器の一覧を確認しましょう。カメラ等が表示されていない場合は、ダイアログボックスを選んで、接続したカメラを選択します。
撮影用鏡筒の焦点距離も入力しましょう。プレートソルビングに影響するので、できるだけ正確に入力しましょう。レデューサー等、補正レンズを使用している場合は、天体望遠鏡の直焦点の値と異なります。ご注意ください。
入力が終われば、OKを押して設定完了です。いよいよ撮影に移りましょう。撮影については、次のページでご案内します。


コラム:パスワードの変更


ASIAIRのパスワードは、初期状態のままだと、他のデバイスから間違ってアクセスされる危険性があるので、アプリのWiFi settingsで変更しておきましょう。できれば、ネットワーク名(Name)も変更しておくとよいでしょう。有名観測地でASIAIR使用者が複数いると、どれが自分の機器か、混乱する可能性もあります。




ASIAIRアプリで電視観望


ASIAIRの画面構成がわかったところで、実際にASIAIRを使って電視観望を楽しんでみましょう。
極軸合わせなどのセッティングは事前に行っているものとします。




ASIAIRアプリはPreviewモードが基本


各種機器を接続し、ASIAIRアプリを開くと、下のような画面が表示されます。画面構成で説明した通り、右側に動作モードが表示されますが、初期状態では「Preview」が選択されています。このPreviewモードがASIAIRの基本です。操作に迷ったら、一旦Previewに戻ると覚えておきましょう。



カメラ冷却を開始のメインカメラのタブをクリックして、冷却CMOSカメラのゲインを設定し、冷却を開始しましょう。冷却温度は一気に下げるのではなく、一旦0度まで下げてしばらく待ち、再度希望温度まで下げると、結露が発生しにくいようです。




大よそのピント合わせ


カメラを冷却している間に、大よそのピントを合わせておきましょう。Previewモードのまま、ビニングを2~4に設定し、露出時間1~2秒に合わせて撮影ボタンを押してください。ピントがずれていれば、画像のように星がぼやけて写ります。



望遠鏡のドロチューブを前後させて、ピントを合わせましょう。このピント合わせは、ASIAIRがPlateSolving時に星の位置を解析するためですので、厳密に追い込む必要はありません。星がだいたい一点に収束すればOKです。



自動導入


ASIAIRのマウントタブを開けて赤道儀が接続されているのを確認し、目的の天体を自動導入しましょう。

自動導入は、画面右側の検索ボックスの虫眼鏡ボタンを押すと、下のような別画面が開き、天体リストから選ぶことができます。


今回は、りょうけん座の渦巻銀河M51を選びました。選択後、右下に表示されるGotoのボタンを押すと赤道儀が動き出します。




PlateSolving


目標天体まで到達すると、一旦赤道儀が止まり、カメラが自動的に画像を撮影して、星の位置の解析が始まります。その後、再び赤道儀が動き出し、目標天体を中央に導入して終了します。ASIAIRの機能の中でも、大変便利な機能だと思います。



もし、PlateSolvingに何度も失敗するときは、最初に入力した望遠鏡の焦点距離が正しいか確認しましょう。補正レンズなどを入れると、焦点距離が変わるので注意してください。




ピント合わせ


目標天体が導入できたら、ピントを合わせましょう。今度は、Focusモードを使って、厳密に合わせていきます。


Focusモードを選択してスタートボタンを押すと、画面上に四角いカーソルが表示されます。そのカーソルをピントを合わせたい星に合わせ、画面左側の拡大ボタンを押すと、選んだエリアが拡大され、正確にピントを合わせることができます。

星の映像の隣には、星の大きさ(StarSize)と、星の明るさの値が数値とグラフで表示されます。星の大きさが小さく、明るくなるようにドロチューブを動かしましょう。


EAFとオートフォーカス


ZWO社の電動フォーカサーEAFを望遠鏡の接眼部に取り付けていれば、画面の左側にドロチューブを前後に動かすためのタブが表示されます。これを使えば、望遠鏡に触れることなくピントを合わせることが可能です。



また、AF機能も使用可能です。AFボタンを押すと、上画像のような解析グラフが立ち上がり、最良の位置をASIAIRが判断して、ピントを合わせてくれます。


電視観望を開始する



動作モードからLIVEを選び、電視観望を開始しましょう。Liveを開始すると、下画像のようなダイアログボックスが表示されます。


別途ダークフレームやフラットフレームがあれば、指定すれば、画像処理後の画像が表示されますが、最初は何もチェックを入れずにやってみましょう。今回は、ビニング3、露出時間30秒でM51銀河を電視観望しました。



上は、4枚スタックした時点での画像です。2等星がやっと見えるかどうかの都会でも伴銀河まではっきりとわかります。


ダウンロードボタンを押すと、スタックした画像が保存されます。刷毛のようなアイコンを押すと、スタックされたデータがクリアされ、また新たに撮影が始まります。




ASIAIRでの電視観望について


パソコンと繋いで行う電視観望と比べると画面は少々小さくなりますが、タブレットを持ち歩きながら操作できるのはとても便利です。


また、ASIAIRが全ての機器を統合制御しているので、電視観望から天体撮影へも簡単に切り替えることができます。一度ASIAIRで電視観望を体験すると、パソコンには戻れないほどの魅力があります。
次回は、天体撮影時の操作やオートガイダーについてお伝えしたいと思います。





レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。



モノクロ冷却CMOSカメラで天体撮影をより深く楽しもう

モノクロ冷却CMOSカメラで天体撮影をより深く楽しもう
モノクロ冷却CMOSカメラを使って、天体撮影をもっと深く楽しんでみましょう。モノクロ冷却CMOSカメラは、カラータイプの冷却CMOSカメラに比べて、高詳細な画像が得られ、ナローバンド撮影にも適したカメラです。

モノクロ冷却CMOSカメラとは


モノクロ冷却CMOSカメラとは、撮像素子にモノクロタイプのCMOSセンサーを用いたカメラです。一般撮影用のデジタルカメラでは見かけないタイプのセンサーですが、天体撮影用のカメラとして昔から販売されていました。デジタルカメラが天体撮影に使い始められた頃は、モノクロタイプの方が天体撮影用カメラの主流だったほどです。



モノクロ冷却CMOSはフィルターワークが楽しめる


一発でカラー画像を得られるカラー冷却CMOSカメラと異なり、モノクロ冷却CMOSカメラで得られる画像は黒白です。そのため、モノクロ冷却CMOSカメラで撮影してカラー写真を得るには、赤、緑、青の各波長の光だけを通すフィルターを使ってそれぞれ撮影して各色の画像を得、それらをパソコン上で合成処理してカラー写真に仕上げます。

画像はフィルターホイールを取り付けたモノクロ冷却CMOSカメラです。
フィルターホイール内に、各種フィルターが入っていて、これらを切り替えて撮影を行います。




パソコン上で、それぞれのフィルターを使って撮影した画像を合成してカラー化しているところです。カラー画像を得るには一手間かかりますが、モノクロCMOSカメラは、同じ形式のカラーセンサーのカメラに比べて感度が高く、撮影した画像の解像度も高くなります。また、ナローバンドフィルターとの相性が良い点もモノクロ冷却CMOSカメラのメリットです。




モノクロ冷却CMOSカメラで必要な機材


一発でカラー画像を得られるカラー冷却CMOSカメラと異なり、モノクロ冷却CMOSカメラで得られる画像は黒白です。そのため、モノクロ冷却CMOSカメラで撮影してカラー写真を得るには、赤、緑、青の各波長の光だけを通すフィルターを使ってそれぞれ撮影して各色の画像を得、それらをパソコン上で合成処理してカラー写真に仕上げます。

画像はフィルターホイールを取り付けたモノクロ冷却CMOSカメラです。
フィルターホイール内に、各種フィルターが入っていて、これらを切り替えて撮影を行います。



フィルターについて


モノクロ冷却CMOSカメラ用のフィルターは、様々なメーカーから販売されていますが、フィルターはカメラを変えても引き続き使用できるので、長年愛用できる信頼性の高いものを選ぶことをお勧めします。

私が使用しているChroma社のフィルターです。Chroma社のフィルターは、ゴーストやハロの発生が少なく、センサーの性能を最大限生かした画像を得られる高品質なフィルターです。フィルターを選ぶ際は、お持ちの冷却CMOSカメラのセンサーサイズに合った製品を選びましょう。画像のフィルターは、枠無し50mmのタイプです。





実際に撮影してみよう


モノクロ冷却CMOSカメラを使った撮影の様子をご紹介しましょう。使用したカメラは、ZWO社の冷却CMOSカメラASI2600MMProです。カメラの撮影ソフトは、ZWO純正のASI StudioVer1.81を使用しました。





機材の設置とカメラの接続


まず、天体望遠鏡一式を組み立て、カメラを望遠鏡に取り付けます。カメラにフィルターホイールが取り付けられているため、下画像のように、接眼部はカラーカメラに比べて少々複雑になっています。

次に、フィルターホイールのUSBケーブルを、カメラのUSBに接続します。カメラとノートパソコンを別のUSBケーブルで繋ぎ、DC12Vの電源プラグをカメラの電源ソケットに差し込みます。ドライバーが正常にインストールされていれば、カメラのファンが回り出し、パソコン上でカメラが認識されます。





ASI Imgを立ち上げよう


カメラが起動したら、インストールしておいたASI Studioを立ち上げます。立ち上げると、以下のような画面が表れます。Deep Sky Imagingの中にある天体撮影用のアプリケーション「ASI Img」をクリックして立ち上げましょう




ASI Imgの画面構成は、以下の通りです。右側にカメラの設定項目が並び、左側の大きなキャプチャー画面にCMOSカメラが写した画像が表示されます。




ASI Imgを立ち上げよう



カメラが起動したら、インストールしておいたASI Studioを立ち上げます。立ち上げると、以下のような画面が表れます。Deep Sky Imagingの中にある天体撮影用のアプリケーション「ASI Img」をクリックして立ち上げましょう。

カメラが正しく表示されない場合は、右矢印ボタンの右にある更新ボタンを押してください。ドライバーが正しくインストールされていれば、カメラが表示されます。



フィルターホイールの設定


フィルターホイールを初めて使用する際は、カメラの上にあるEFW設定画面を開きましょう。フィルターホイールが認識されていれば、以下のような画面が表示されます。

初期状態では、フィルター名が入力されておらず、数字がナンバリングされているだけです。どのフィルターで撮影しているかわかりやすいように、該当する番号のところにフィルター名を入力しておきましょう。フィルター名の入力が終わったら、Lフィルターを選択してください。





カメラの設定



カメラの設定画面で、解像度やゲインを設定しましょう。
解像度は、お使いのカメラの最高解像度、ゲインは「中(100)」、露光時間は「2秒」、ビニングは「Bin1」に設定してください。冷却機構のあるカメラの場合は、オンにした後、希望の温度に設定しましょう。夜露の可能性があれば、防露ヒーターもオンにしましょう。



ピント合わせ



赤道儀の自動導入機能やファインダーを使って、天体望遠鏡の視野内に明るい星を導入します。

導入後、プレビューの矢印ボタンを押すと、カメラが捉えた画像が左のキャプチャー画面に表示されます。
最初は、下画像のように星がぼけて写ると思います。天体望遠鏡のピントノブを回し、星像が小さくシャープになるようにピントを合わせましょう。
プレビューモードの「連続」ボタンを押すと、連続撮影モードになって次々と画像が更新されるため、ピントを合わせやすいと思います。拡大ボタンを押して、画像を拡大し、更にピントを追い込みましょう。 ピントが合ったら、天体望遠鏡のドロチューブ固定ネジを回し、撮影中にピントがずれないようにしましょう。





天体の導入と構図合わせ


次に、撮影したい天体を導入します。自動導入やファインダーを使って、天体望遠鏡を目的の天体に向けましょう。
露光時間数秒で撮影し、対象の天体が視野内に入っているか確認します。天体が淡くて形がわかりにくい場合は、一旦ビニングを4にすると、実効感度が上がり、短時間で星雲や銀河の形を捉えやすくなります。
目的の天体の位置がずれている場合は、赤道儀の赤緯赤経ボタンを押して、望遠鏡の向きを微調整します。キャプチャー画面右側のアイコンで十字線を表示させると、全体のバランスがわかり、構図を合わせやすくなります。





オートランで撮影



構図を合わせたら、いよいよ撮影開始です。撮影を始める前に、まず「保存場所」でファイルの保存先を指定しましょう。
撮影には、撮影タブの中にあるオートランを使用します。

オートランボタンを押すと、キャプチャー画面にダイアログボックスが表示されます。ボックスでは、撮影画像の種類(撮影順序)、露光時間、フィルター、撮影枚数(繰り返し)を設定することができます。

右側ステータスの下にあるプラスボタンを押すと、撮影スケジュールが追加されます(マイナスボタンを押すとスケジュールが削除されます)。
今回は、撮影画像の種類は「ライト」、露光時間を180秒に設定します。フィルターは、L、R、G、Bフィルターに設定しています。撮影枚数は希望の枚数に設定しましょう。
「開始」ボタンを押すと撮影が開始され、撮影画像は指定したフォルダに保存されます。オートラン画面の左下にあるターゲットのテキスト部分に希望の名前を入れておくと、そのファイル名で保存されます。





撮影画像の確認


次に、撮影したい天体を導入します。自動導入やファインダーを使って、天体望遠鏡を目的の天体に向けましょう。
1枚撮影が終わるごとに、キャプチャー画面に撮影画像が表示されます。1枚目の撮影が終わって画像が表示されたら、オートランのダイアログボックスを移動し、画像を確認しましょう。
画面右側にある拡大ボタンを押すと、ピントずれなどがわかりやすくなります。
今回はオートガイダーを使用していないため、星が線状に流れて写る場合がありますが、これは赤道儀の追尾誤差によるもので、異常ではありません。しかし、あまりにも大きく流れて写る場合は、極軸がずれている可能性もありますので、赤道儀のセッティングを確認しましょう





ヒストグラムについて



ASI Imgの画面右下にヒストグラムが表示されています。。
デフォルトでは「オート」が選択されており、キャプチャー画面には、自動的に明るさを調整した画像が表示されます。
「オート」の隣にある「リセット」ボタンを押すと、調整前の撮影したままの画像に切り替わりますが、通常は「オート」で使うことをお勧めします


撮影画像の開き方


撮影した画像ファイルはFit形式で保存されるため、通常の画像を扱うソフトウェアでは開くことができません。ASI Studioの中にあるASIFitsViewで開きましょう。
画像を開くと、撮影画像が表示されます。下にはアイコンが表示され、拡大や縮小、画像の回転を行うこともできます




ヒストグラムのアイコンをクリックすると、上のように撮影画像上にヒストグラムが表示されます。ヒストグラム下の矢印を移動させると、画像を強調することができます。
また、ファイルボタンを押すと、一般的なファイル形式で画像を保存することができます。SNS等にアップロードしたい場合は、JPEG形式で保存するとよいでしょう。
なお、モノクロCMOSカメラで撮影した画像のカラー合成処理は、天体写真用の画像処理ソフト(ステライメージ9)で行うことができます。







モノクロ冷却CMOSカメラで撮影した天体


ZWO ASI2600MMProを使って撮影した天体の姿をご紹介します。


1.さんかく座のM33銀河

さんかく座にある渦巻銀河です。大きくて明るく、色合いも豊かなので、撮影し甲斐のある天体です。5等星が見える郊外で、タカハシTOA130望遠鏡を使って撮影し、カラー合成しました。銀河のディテールの描写に、モノクロカメラの高解像力が発揮されています。




2.ばら星雲

いっかくじゅう座にあるばら星雲は、天体撮影の対象として人気があります。3種類のナローバンドフィルター(SII、Hα、OIII)を使って撮影し、カラー合成しました。2等星がやっと見えるくらいの都会で撮影しましたが、ナローバンドフィルターとモノクロ冷却CMOSカメラの高感度のおかげで、淡い部分まで写し出すことができました。。




3.ダイオウイカ星雲

 ケフェウス座にある非常に淡い天体ですが、ナローバンドフィルターとモノクロ冷却CMOSカメラを使って、写し出すことができました。200ミリの望遠レンズを使って撮影しています。フィルターホイールにカメラマウントを取り付ければ、カメラレンズで撮影を楽しむこともできます。






レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。




カメラのドライバーやソフトウェアをカメラ付属のCD-ROMやZWO社のWebサイトからダウンロードしましょう。




春から初夏の観測ガイド

春から初夏の観測ガイド

春から初夏へと季節が進むこの時期には、天の川やその周辺に位置する星雲星団など、たくさんのメジャー天体を観測することができます。 南の空から東の空へと横たわる天の川を撮影したいなら、4月は深夜2時ごろ、5月は深夜0時ごろ、6月は22時ごろからがチャンスです。
この時期は日に日に気流が安定して空のコンディションが向上していきます。気候的も過ごしやすい季節なため、入門者の方が天体観測デビューするのにとても適しています。 もちろん中級者以上の方にも好条件チャンスであることに違いはありません。 この時期ならではの、おおぐま座やおとめ座の系外銀河など、難易度の高い対象にもぜひチャレンジしてみてください! 梅雨の合間の晴れ間には素晴らしいシーイングが現れたりします。チャンスを逃さないように!!

ステラナビゲーターVer.11で作成


初夏は南の地平線から東の空へと横たわる天の川が刻一刻と立ち昇ってくる迫力ある姿が見られる季節です。ステラナビゲータなどのシミュレーションソフトがあれば、撮影計画を練って星景写真に挑戦することができます。
吉田隆行氏 「大台ケ原の天の川」 2017年 

天体写真家の吉田隆行氏は、標高1600メートルの大台ケ原を往復3時間歩いてこの作品を撮影しました。低空にかかった淡い雲海で下界と隔離された原野の風景が天の川の光によって映し出され、雄大な天の川銀河の姿と相まって荘厳な印象を与えています。
星景写真の撮影のためにトレッキングする場合、カメラや三脚といっしょに担いで歩けるポータブル赤道儀を使用します。撮影チャンスを確実のものにするためには、小さくても高精度で信頼性の高いポータブル赤道儀をご選択ください。


SWATシリーズの最高峰!「ユニテック SWAT-350」


土星を見るには・・・
2023年の土星はみずがめ座にあり、この春観測するには少し早起きが必要です。
4月には午前4時ごろ、5月には午前2時ごろ東の空から登ってきます。
6月にもなれば0時ごろには顔を見せます。

2023/4/16 AM4:00 

▲クリックで拡大



惑星を撮ってみよう 初めての望遠鏡購入ガイド

過ごしやすい気候が続きます。天体観測をお楽しみください!!




秋の天体観測ガイド

秋の天体観測ガイド


秋の夜長は天体観測にうってつけのシーズンです。 前半には秋雨前線の停滞や台風の影響などで秋の長雨に見舞われることも少なくありませんが、後半木々が紅葉で赤く染まり始めるころには、抜けるような秋晴れの空が姿を現すようになります。この頃には夜の時間がぐっと長くなるうえ、空気が乾燥し透明度がグングン向上していきますので天体観測には格好のシーズンとなります!

秋の夜空を見上げれば、西には夏の名残の星座(はくちょう座)が輝き、東からは冬の星座(おうし座)が顔を見せ始めています。空高くにはカシオペア座やアンドロメダ座があり秋を印象づけています。

夏の間に月や、土星・木星といった惑星など、太陽系の天体を経験された入門者の方は、ぜひ次のステップとして星雲や星団の観望・撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか?この時期に観望が楽しめる星雲・星団の例としては、M31アンドロメダ銀河、H-χ二重星団、M45プレアデス星団などがあります。大口径の双眼鏡を用たり、フィルタワークを駆使すれば網状星雲も眼視挑戦が可能な対象です。 撮影ならそれらに加え、ケフェウス座のIC1396、ペルセウス座IC1805、ぎょしゃ座のIC410/IC405など、近赤外域のHα線を発する赤い星雲が好対象となります。

お好みの天体を、用途にあった機材を選択してしてお楽しみください!



南の方角を観測すれば星々は東から昇り西へと沈む、太陽と同じような動きで移動します。惑星観測から始めた初心者の方にはこの星の動きになじみがあると思いますが、くるっと180度回転して北の方角を向いてみれば、星々は北極星を中心に反時計回りをする動きになります。上図ではM31アンドロメダ銀河の位置がほぼ天頂です。

ヒント→ 上記星図は11月15日午後8時ものです。月と惑星以外のすべての星の位置は、日時が1か月進めば、観測時刻を2時間早めることでほぼ同じになります。  ◎恒星の位置 : 10月15日午後10時 ≒ 11月15日午後8時 ≒ 12月15日午後6時

星図:ステラナビゲーターで作成


眼視・撮影向き 撮影向き
・網状星雲
・H-χ二重星雲
・M45プレアデス星団

・M31アンドロメダ銀河
・北アメリカ・ペリカン星雲
・ガーネットスターとIC1396
・ハート&ソウルIC1805・IC1848
・勾玉星雲IC405・IC410


ペルセウス座
▲マウスを載せると詳細表示
大きい写真はコチラ 
おうし座の北~ぎょしゃ座
▲マウスを載せると詳細表示
大きい写真はコチラ 
ペルセウス座の全景です。
右上の赤い散光星雲はIC1805ハート星雲/IC1848ソウル星雲で、その少し右下には二重星団があります。左下の赤い散光星雲はNGC1499カリフォルニア星雲です。
105mm+ペンタ67銀塩での作品ですがAPS-C機+50mmレンズでも、ほぼ同等の画角が得られます。
おうし座の北からぎょしゃ座にかけての領域です。
左の赤い星団がIC405勾玉星雲、右がカリフォルニア星雲です。右下の青い散開星団はM45プレアデス星団です。
105mm+ペンタ67銀塩での作品ですがAPS-C機+50mmレンズでも、ほぼ同等の画角が得られます。
網状
大きい写真はコチラ 
はくちょう座の超新星残骸です。特に明るい写真左側NGC6992は眼視挑戦が可能な星雲として知られます。
ドブソニアン望遠鏡や、望遠鏡2本を使って作成する対空双眼望遠鏡に、OIIIなどのネビュラフィルターを組わせて挑みます。
写真にとれば赤と青緑の対比が美しく、超新星爆発による微細なフィラメント構造が観測できます。

撮影光学系:タカハシ ε-180ED
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセンAXD赤道儀にて追尾、ステラショット、M-GENにてオートガイド追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、
RAWモード、IDAS UIBAR-Ⅲフィルター
露出時間:180秒×12コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影
M31
大きい写真はコチラ 

網状
大きい写真はコチラ 
私たちが住むこの天の川銀河の、お隣さんの銀河です。7倍程度の双眼鏡でも中心の明るい部分が眼視できます。 写真にとると見事な腕の広がりが撮影でき、その広がりの大きさは満月5つ分ほどもあります。 アンドロメダ銀河は現在、私たちの天の川銀河へ向かって進んでおり、約40億年後には衝突し融合するそうです。

撮影光学系:タカハシTOA-130、レデューサーレンズ使用
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセンAXD赤道儀、ステラショットにてオートガイド追尾
カメラの設定:ホワイトバランスマニュアル、ISO1600、IDAS UIBAR-Ⅲ
露出時間:420秒×8コマ
画像処理ソフト: ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所: 岡山県備前市吉永町、2017年撮影
ガーネットスターはケフェウス座の変光星で、その正体は直径が太陽の約1500倍もある赤色超巨星です。 あまりに赤いため宝石の名になぞらえて「ガーネットスター」と名付けられました。 その南側に広がる赤い星雲がIC1396です。 恒星と星雲の色の対比がとても美しく、長時間観測できる北天に位置するため、撮影の好対象になります。

撮影光学系:タカハシ ε-180ED
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセン AXD赤道儀にて追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード
露出時間:240秒×12コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影
網状
大きい写真はコチラ 
写真右側の星雲がIC1805で、心臓のような形をしていますので「ハート星雲」という愛称があります。
左側のIC1848は胎児のような形をしていることから日本では「胎児星雲」とも呼ばれます。
母体に宿った魂ということなのか、Heart & Soul(英語で、心と魂=熱心に打ち込むの意)の語呂がいいのか、海外では「ハート&ソウル星雲」と呼ばれることが多いです。

撮影光学系:コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (TX07使用, 350mm F4)
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセン SXP赤道儀 にて追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード
露出時間:240秒×13コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影
ぎょしゃ座の星雲星団
▲マウスを載せると詳細表示
大きい写真はコチラ 
ぎょしゃ座は日本では11月の2時ごろ、12月の0時ごろに天頂付近を通過します。観測条件が良いため、写真写りの良い星域です。
コーワプロミナー350mmF4とフルサイズカメラを組み合わせれば、左に2つの淡い散開星団M36/M38、右に散光星雲IC405/IC410を配したご覧のような構図が完成します。
この付近は冬の天の川にあたりますので星がびっしりと集まり、その星々の色は様々で表情豊かなことも特徴です。

撮影光学系:コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (TX07使用, 350mm F4)
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセン SXP赤道儀 にて追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード
露出時間:240秒×13コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影


難易度: 易 ★☆☆☆☆ 難易度: やや易 ★★☆☆☆
難易度: 並 ★★★☆☆ 難易度: やや難 ★★★★☆ 難易度: 難 ★★★★★


惑星撮影にチャレンジ




天体撮影に必要な機材


惑星は拡大して撮影するため、集光力のある口径の大きな反射望遠鏡が適しています。反射望遠鏡の中でも、口径の割にコンパクトで軽量な、シュミットカセグレン式(以下:シュミカセ)が惑星撮影用として人気が高く、お勧めです。



望遠鏡の他に必要な機材は、天体望遠鏡を載せる赤道儀、像を拡大するためのバローレンズ、CMOSカメラとノートパソコンです。動画で撮影するため、カメラとパソコンは、転送速度の速いUSB3.0ケーブルでつなぐことをお勧めします。また、CMOSカメラには、IR-Cut(赤外線カット)フィルターを取り付けておきましょう。 今回は、セレストロンC8望遠鏡とZWO社のCMOSカメラ((ASI662MCやASI224MC)を使った惑星撮影の方法をご紹介します。バローレンズは、TeleVue社2.5x パワーメイトを使用しました。



CMOSによる惑星撮影には大口径が有利ですが大きすぎると温度順応に時間がかかるなど扱いにくい一面も。C8なら丁度いい大きさです。 一世を風靡した名機、SXP赤道儀を基に、赤経周りの弱点を改善してリリースした超コスパ・撮影対応赤道儀です。
(実際使用した機材は旧モデルSXP赤道儀です。)
強拡大が必要となる惑星撮影に好適なセンサーサーズ、1/3インチ級CMOSの最新作です。35mmフルサイズ換算およそ7倍のクロップとなります。 倍率以外は何も足さない、と評されるバローレンズの最高峰。一般的な製品で色収差や解像の悪化を経験して、結局最後に行きつくのはこの製品です。



惑星は動画で撮影します


現在、惑星は動画で撮影する方法が主流です。 撮影した動画ファイルの各フレームの中から写りの良いものを選択し、 それを重ね合わせて、1枚の写真に仕上げます。 静止画で撮影していた頃に比べ、より詳細に写すことができるようになりました。 動画撮影は難しいと感じるかもしれませんが、動画の撮影も各フレームの選択も ソフトウェアが自動的に行ってくれますので、それほど難しくありません。

以下に、純正ソフトを使った操作方法をご紹介します。

カメラをパソコンに接続する前に、カメラ付属のCD-ROMやZWO社のWebサイトからカメラのドライバーやソフトウェアをダウンロードします。

また、今回の天体撮影でZWO社の「ASI Studio」というソフトウェアを使用するので、ZWO社のWebサイトから
「ASI Studio」をダウンロードして、パソコンにインストールします。
(今回の撮影では、バージョン1.6.3を使用しました)


機材の設置とカメラの接続


天体望遠鏡一式を組み立て、極軸望遠鏡を使って赤道儀の極軸を合わせます。
望遠鏡とバローレンズとカメラは、
望遠鏡の接眼部に左画像のように取り付けます。
次に、USBケーブルでカメラとノートパソコンを繋ぎます。
ドライバーが正常にインストールされていれば、パソコン上でカメラが認識されます。



ASI Imgを立ち上げよう


カメラが認識されたら、ASI Studioを立ち上げましょう。ASI Studioが立ち上がると、以下のような画面が表れます。今回は左上の惑星撮影用のアプリケーション「ASI Cap」を使用するので、ASI Capのアイコンをクリックしてください。


ASI Capの画面構成は、以下の通りです。右側にカメラの設定項目が並び、左側の大きなキャプチャー画面にCMOSカメラが捉えた映像が表示されます。





ASI Capでカメラを接続


カメラ設定エリアの上部にある「カメラ」部分に、パソコンに接続しているカメラが表示されているか確認しましょう。カメラが正しく表示されていれば、右矢印ボタンを押してください。ソフトウェアがカメラを認識します。
カメラが正しく表示されない場合は、右矢印ボタンの右にある更新ボタンを押してください。ドライバーが正しくインストールされていれば、接続しているカメラが表示されます。


カメラの設定


「イメージ」と書かれた設定画面で、カメラのフォーマットや解像度を設定しましょう。
フォーマットは、RAW8かRAW16を選ぶことができます。RAW16の方が画像情報が豊富ですが、ファイル容量が大きくなり、転送時間がかかりますので、ご使用のパソコンのスペックに合わせて選択してください。

解像度は、最終的には、惑星の大きさに合わせたサイズに変更しますが、最初は、最大解像度を選んでおきましょう。Binは「1」で撮影を行います。



導入とピント合わせ


赤道儀の自動導入機能やファインダーを使って、天体望遠鏡の視野内に惑星を導入します。惑星が視野内に入ってこない場合は、一旦、カメラを接眼部から外し、低倍率アイピースを取り付けて、視野の中央に惑星を導入しましょう。

惑星を視野内に入れた直後は、上画像のように大きくぼけて写ると思います。天体望遠鏡のピントノブを回し、像が小さくシャープになるようにピントを合わせましょう。

写し出された惑星像が暗くて見づらい場合は、右側のコントロールパネルにある、「露出とゲイン」のスライダーを動かして調整しましょう。
ピントが合ってくると、上画像のように惑星の輪郭がはっきりしてきます。キャプチャー画面右端にマウスカーソルを移動させると、上画像のようにアイコンが縦に表示されます。拡大ボタンを押して、画像を拡大し、更にピントを追い込みましょう。

土星の場合は、環の中にあるカッシーニ空隙を目安にすると、ピントを合わせやすいです。木星の場合は、縞模様を見ながら合わせることをお勧めします


露出時間とゲインの設定


ピントを合わせたら、コントロール内にある「露出時間とゲイン」を調整します。露出時間を長くすると、動画のフレームレートが遅くなります。ゲインはデジカメのISO感度のようなもので、上げると感度は増しますが、ノイズも増えます。

露出時間とゲインは、表示されているヒストグラムを見ながら合わせましょう。ヒストグラムは、左側から右側にかけて明るくなっています。暗くなり過ぎず、ヒストグラムのグラフが飽和しない程度の露出時間やゲインに設定しましょう。

使用するカメラの機種にもよりますが、ゲインは高めにして、露出時間を短くした方が、最終的に良い結果を得られやすいです。ご自分の機材に合ったいろいろな設定を試してみましょう。

※ホワイトバランスについて
ゲインの横のマークをクリックすると、下画像のようなダイアログボックスが開きます。通常はデフォルトで使用しますが、画面に表示されている惑星の色合いが偏っている場合は、カラータブの中にあるホワイトバランスを調整してみましょう。

※ディスプレイコントロール
ディスプレイコントロールの項目を変更すると、写し出された画像が明るくなったり、彩度が高くなったりしますが、基本的にはデフォルトで問題ありません。


画像解像度の再設定


続いて、画像解像度を変更します。
最大解像度のままでも撮影は可能ですが、惑星周囲の黒い部分をカットした方が、ファイル容量を小さくすることができます。惑星像の大きさに合わせた画像解像度を選択しましょう。


キャプチャー開始


まず、キャプチャーの中にある保存場所を開き、ファイルの保存場所を指定しましょう。
次に、撮影時間を設定します。撮影時間を長くするほど、多くのフレームを得ることができますが、惑星は自転しているため、撮影中に模様が移り替わってしまいます。最初は120秒を目安に撮影してみましょう 。

次に、RAWデータにチェックボックスを入れて、ビデオボタンをクリックします。撮影が開始されると、ソフトウェア下部のステータスバーに進行状態が表示されます。なお、ビデオボタンの代わりにカメラボタンを押すと、静止画(PNGファイル形式)で画像が保存されます。

Tips: 自動撮影ボタンを押すと、連続撮影用のシークエンス設定画面が開きます。「120秒間、動画撮影し、その後、更に60秒間、動画撮影する」などの使い方が可能です。


ASI VideoStackで簡単画像処理


撮影した動画はASI Studioの中にあるASI VideoStackを使って、簡単に一枚の静止画にすることができます。
ASI VideoStackを開き、右上のダイアログボックスから、撮影した動画を開きましょう。動画が左の画面に表示されたら、スタックタイプ「惑星」を選択し、スタックパーセントを設定します。
スタックボタンを押すと、スタックが始まり、進行状況が表示されます。スタック終了後、動画のフレームから重ね合わせた静止画が表示されます。

スタック画像が表示されたら、右側イメージパネル内に表示されたシャープネスやコントラスト等を調整してみましょう。

ASI VideoStackで画像処理して色合い調整した画像です 。
キャプチャー画面に表示されていた1枚画像と比べ、スタック後はノイズが減り、シャープ感が増したのがわかります。


惑星を綺麗に写すコツ


星雲や星団に比べて、惑星は大きく拡大して撮影するため、大気の揺らぎ(気流)の影響を受けやすく、気流の悪い日は呆けた像しか得られません。綺麗に写すためには、上空の気流が落ち着いた夜を選び、惑星の高度が高い時間を狙って撮影しましょう。

また、外気温に望遠鏡のミラーが馴染んでいないと、望遠鏡の筒内で空気の揺らぎが発生し、悪影響を及ぼします。撮影の1時間ほど前から天体望遠鏡を外気に慣らすようにしましょう。




レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。


夏の観測ガイド 2022

初夏の観測ガイド

夏は天の川やその周辺に位置する星雲星団など、たくさんのメジャー天体を観測することができます。
星雲や星団なんて難しくてわからない、という入門者の方はまず「夏の大三角」(=デネブ・ベガ・アルタイル)を見つけることから始めてみましょう。主要な恒星が複数把握できるようになれば、それらの位置関係との対比で星座早見盤などを頼りに星雲や星団にたどり着くことができるようになります!
また、惑星観測から始めてみるというのも好手です。一番明るい星といえば「1等星」という言葉をイメージされる方も多いと思いますが、夏の大三角のデネブの明るさが約1等級であるのに対し、土星は約0等級、木星に至ってはマイナス2等級以上の明るさがありますので意外とすぐに見つけられます!(等級が1つ上がると約2.5倍明るくなります。)
「惑星を見たことがありますか?」 と質問すると多くの方がありませんとお答えになります。しかし、「あの明るい星は何だろう?」と思われたときにご覧になっている星こそが惑星である場合があります。拡大して模様や輪っかを見れていないだけで、肉眼で見てピカッと光っているだけの土星や木星であればすでに何度もご覧になっている方は実はとても多いのです。
夏は気流の安定した夜が多く、高倍率に耐えるシーイングに恵まれ、惑星観測にも適しています。是非挑戦を!

ステラナビゲーターVer.11で作成


夏の天の川は雄大です。夏の天の川は、地球から私たちの住む銀河系の中心部を眺めた姿です。
吉田隆行氏 「大台ケ原の天の川」 2017年 

天体写真家の吉田隆行氏は、標高1600メートルの大台ケ原を往復3時間歩いてこの作品を撮影しました。低空にかかった淡い雲海で下界と隔離された原野の風景が天の川の光によって映し出され、雄大な天の川銀河の姿と相まって荘厳な印象を与えています。
星景写真の撮影のためにトレッキングする場合、カメラや三脚といっしょに担いで歩けるポータブル赤道儀を使用します。撮影チャンスを確実のものにするためには、小さくても高精度で信頼性の高いポータブル赤道儀をご選択ください。


SWATシリーズの最高峰!「ユニテック SWAT-350」


そして2022年の土星・木星は、やぎ座・うお座周辺にあります。天体観測に興味があるけど、まずはお手軽に始めたいという方は、月や惑星の観望を楽しめる入門天体望遠鏡セットを手に入れて土星や木星の観測からスタートしてください。

2019年のゴールデンウィークは天体観測の絶好機



惑星を撮ってみよう 初めての望遠鏡購入ガイド

人混みを避けて天体観測をお楽しみください!!




ASI Studioを使って電視観望や天体撮影を楽しもう。

ASI Studioを使って電視観望や天体撮影を楽しもう。ASI Studioは、ZWO社が開発した、ASIカメラ用のアプリケーションです。操作方法がシンプルなので、初心者でも電視観望や天体撮影を楽しむことができ、簡単な画像処理も可能です。ASI Studioを使って、天文の世界を楽しんでみましょう。

ASI Studioの画面構成


ASI Studioを立ち上げると、上のようなダイアログボックスが表示されます。ボックス内には、5つの四角いアイコンが並んでいます。左の3つのアイコンは撮影用で、右の2つは撮影した画像を表示したり、画像処理したりするためのアプリです。




ASI Cap


ASI Capは、惑星撮影用のアプリケーションです。惑星撮影は、動画で撮影し、良好なフレームだけを取り出して一枚画像に仕上げる手法が現在の主流です。ASI Capは、カメラの動画撮影機能を活かせるレイアウトになっています。







ASI Img


ASI Imgは、天体撮影用のアプリです。DSO(Deep Sky Object)と呼ばれる、星雲や星団、遥か遠くの宇宙で輝く系外銀河を撮影するためのアプリケーションです。DSOは長時間露光で撮影するので、静止画撮影に向いた機能がまとめられています。







ASI Live


ASI Liveは、電視観望用のアプリです。電視観望は、短時間露光を積み重ね、肉眼では観望が難しい星雲や系外銀河などを画面に表示して楽しむ方法です。 電視観望は、カメラの感度(ゲイン)を目いっぱいまで上げて、ごく短時間で撮影するため、天体撮影に比べると1画像のクオリティは低くなりますが、リアルタイム感が魅力です。ASI Liveには、電視観望に必要なスタック(重ね合わせ)機能などが搭載されています。



電子観望にチャレンジ





ASI Fits View


ZWO社のASIカメラで撮影した画像は、画像劣化のないFit形式で保存されます。Fit形式は、天体撮影では一般的なファイル形式ですが、Photoshopをはじめとするデジカメ用ソフトでは開くことができません。ASI Fits Viewを使用すると、Fit形式のファイルを開いて、撮影画像を大きな画面で確認することができます。






ASI Deep Stack


天体は淡いため、星雲のコントラストを上げようとするとノイズが発生し、写真がざらついた印象になってしまいます。それを防ぐために、同じ構図で撮影した複数の写真を重ね合わせてSN比を向上させるのですが、その重ね合わせを自動で行ってくれるのが、ASI Deep Stackです。ダークやフラット補正も可能です。







レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。




カメラのドライバーやソフトウェアをカメラ付属のCD-ROMやZWO社のWebサイトからダウンロードしましょう。




ポータブル赤道儀で天の川を撮ろう



ポータブル赤道儀とは


赤道儀とは、星の日周運動を追いかけるための電動架台です。元々、天体望遠鏡を載せるために開発された架台ですが、持ち運ぶには大きすぎるため、カメラレンズ用の小型の架台が開発されました。それがポータブル赤道儀(以下:ポタ赤)です。

ポタ赤の代表的な機種としては、ビクセンのポラリエやポラリエU、ユニテック社のSWATシリーズなどがあります。それぞれ搭載可能な重量が異なるので、使用するカメラやレンズの総重量を考えて選びましょう


ポータブル赤道儀の機材構成


ポタ赤で天の川を撮影するには、本体の他にカメラやレンズなどの機材が必要です。私が使用しているユニテックSWAT-350の撮影機材を例にご紹介しましょう。


上は、実際に撮影に使用している機材の様子です。使用機材の一覧を以下にまとめました。

  • SWAT-350本体
  • 極軸微動ユニット
  • デジタルカメラとレンズ
  • カメラ雲台
  • カメラ三脚

  • 星空写真や風景写真を撮っていれば、カメラ三脚やカメラ雲台は既にあると思いますので、ポタ赤本体の他には、極軸微動ユニットがあれば、ポタ赤を使った撮影を楽しむことができます。
    極軸微動ユニットとは、ポタ赤の回転軸を天の北極星の方向に合わせるための架台です。
    なくても撮影は可能ですが、北極星導入に手間がかかるので、ポタ赤と一緒に購入することをお勧めします





    ポータブル赤道儀の回転軸について


    ポタ赤は、電源を入れると回転台座が星の日周運動に合わせて、ターンテーブルが回転する構造になっています。正確に星を追いかけるためには、ポタ赤の回転軸と地球の自転軸を合わせる必要があります。

    地球の自転軸と合わせるというと難しく感じられますが、ポタ赤の回転軸を天の北極方向(およそ北極星の方向)に向けるだけです。たいていのポタ赤には、北極星を覗くための穴が開いていますので、それを覗いて軸を合わせます。この軸を合わせる行為を「極軸合わせ」と呼んでいます。




    ポタ赤の設置手順


    1. 三脚を設置する。
    2. 三脚の架台に極軸微動ユニットを取り付ける。
    3. 赤道儀の回転軸がおおよそ北を向くようにポタ赤を取り付ける。
    4. ポタ赤に雲台を取り付ける。
    5. 雲台にカメラを固定する。
    6. ポタ赤の北極星覗穴を覗き、極軸微動ユニットを動かしながら北極星を視野の中央に導入する。

    撮影開始の手順


    ポタ赤を設置したら、ポタ赤の電源を入れましょう。ポタ赤の機種によって、様々な動作モードが用意されていますが、天の川を普通に撮影するなら、通常の恒星時追尾モードがお勧めです。


    次に、カメラを明るい星に向け、ピントを合わせます。星は小さく暗いので、背面の液晶モニターに明るい星を映し出し、拡大して合わせるとよいでしょう。星空撮影モードのあるカメラなら、そのモードを選びましょう。
    ピントを合わせたら、ピントリングが動かないようにテープで留めて、天の川の方角にカメラを向けます。初めて天の川を撮影する場合は、35ミリ換算で24mm前後の画角で、いて座方向を撮影するのがお勧めです。




    1枚目は、追尾状況を確認するために、ISO12800前後の高めの感度に設定し、開放F値で15~30秒前後で撮影してみましょう。
    撮影が終わったら、ピントが合っているか、構図がずれていないかを確認します。問題なければ、感度をISO800~3200程度まで下げ、レンズを若干絞り、露光時間を延ばして本撮影を行いましょう。



    撮影後に画像処理ソフトでコンポジットしてコントラストを高めたいときは、感度を下げて、複数枚撮影しておきましょう。コンポジットすれば、ノイズの目立たない滑らかな作品に仕上げることができます。
    地上風景もある程度表現したい場合は、感度を高めにして、短い露光時間で1枚撮りするのがお勧めです。





    レンズの画角と構図について


    天の川は広大なので、一度に全景を収めることはできません。天の川のどの部分を切り取るか、構図は撮影者のセンスの見せ所でしょう。
    下は、35ミリ換算で24ミリのレンズで撮影した夏の天の川写真です。夏の天の川と共に、さそり座やいて座も入り、バランスの良い構図になるため、24ミリレンズは、星空撮影によく使われます



    下は、標準レンズと呼ばれる50ミリレンズで、天の川の濃い部分をクローズアップした写真です。
    天の川を縦に走る暗黒帯も明瞭に写り、迫力が増します。固定撮影では短時間露光でも星が大きく流れてしまうので、ポタ赤ならではの写真だと思います。



    ポータブル赤道儀があれば望遠レンズでも楽しめる



    ポタ赤には100ミリ~200ミリ程度の望遠レンズも搭載することができるので、大きな星雲の撮影を楽しむこともできます。
    下は、ユニテックSWAT-350に180ミリの望遠レンズを載せて撮影した、夏の星雲の写真です。干潟星雲に三裂星雲という夏の有名な星雲がはっきりと写っています。



    ※上記写真の撮影には、天体撮影用のフィルターに換装したカメラを使用しましたが、
    夏の天体は明るいので、一般の市販カメラでも、彩度は落ちるものの、十分に写すことができます。



    撮影の幅が広がるポータブル赤道儀


    固定撮影で星景写真を楽しまれている方が多いですが、ポタ赤があれば、撮影の幅が広がります。是非、ポタ赤を追加して、新しい星空写真の表現にチャレンジしてみてはいかがでしょう。




    レビュー著者


    吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
    1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。

    ページトップへ