ハイランダープロミナーとAM3でプレートソルビング自動導入観望を楽しもう!

ハイランダープロミナーとAM3でプレートソルビング自動導入観望を楽しもう!

ハイランダープロミナーとAM3でプレートソルビング自動導入観望を楽しもう!

コーワ ハイランダープロミナー(以下「ハイランダー」)は、スポッティングスコープや双眼鏡で有名な興和オプトロニクス株式会社が製造・販売している大口径の双眼望遠鏡です。生産開始されて20年以上が経ちますが、今でも第一級の性能を持った大口径双眼鏡として人気があります。

今回は、ハイランダーにK-Astec製の保持金具3点セットHLM-3Pを取り付け、AM3赤道儀に載せて天体観望を行いました。ハイランダーの見え味と共に、保持金具の使い勝手についてもご紹介します。



ハイランダー
プロミナー

ZWO
AM3

K-ASTEC
HLM-3P

ASKAR
32mmF4

ZWO
ASI715MC

ZWO
ASI AIR Mini


ハイランダーの概要

ハイランダーの対物レンズの口径は82mmで、星空観察によく使用される口径50mmの双眼鏡と比べて二回り以上大きく、集光力は約2.7倍もあります。双眼鏡本体も大きく、重量は約6kgもあるので、三脚や赤道儀などに固定して観望する必要があります。

対物レンズには、フローライト・クリスタルレンズが採用されています。双眼鏡も大口径になると、色収差などが発生して星像がにじみやすくなりますが、ハイランダーは、フローライトレンズを用いることで、諸収差を良好に補正しています。

接眼部は、45度傾斜しています。ストレートタイプの双眼鏡を星空に向けると、かがみこんで覗きこまないといけませんが、ハイランダーは傾斜型なので楽な姿勢で覗くことができます。また、ピント合わせの方式はIF方式が採用されていて、片眼ずつピントを合わせます。

接眼アイピースは交換式で、標準で32倍ワイドアイピースが付属します。その他、21倍ワイドアイピースと50倍アイピースがオプションで用意されており、様々な対象を楽しめる仕様になっています。

ボディはアルミダイキャスト製で堅牢に作られており、ボディ内部には乾燥窒素ガスが充填されています。防水構造なので、夜露の落ちる夜間でも安心して使用することができます。



ハイランダーの見え味

ハイランダーは天文ファンからの評価が高い大型双眼鏡で、私も何度か覗いてその星像のシャープさに驚いた覚えがあります。今回、改めて星空観望にじっくり使わせていただき、その結像性能の高さを再認識しました。

私は、他社製の口径10センチの3枚玉アポクロマート対空双眼鏡を所有し、星空観望に使用していますが、ハイランダーの星像はそれに比べても鋭く、合焦位置も明瞭で、星が小さく収束します。結像性能が高いため、口径が約2センチ小さいにもかかわらず、解像感はハイランダーの方が優れており、オリオン大星雲のトラペジウムもよく分解しました。


また、同口径の天体望遠鏡と比べても、ハイランダーの方がよく見えると感じました。実際、おおぐま座のM81とM82銀河を口径81㎜のSDアポクロマート屈折望遠鏡で見たときよりも、ハイランダーで覗いた方が銀河のコントラストが良く、背景宇宙から銀河が浮き立って見えました。

見頃を迎えていた、ポンス・ブルックス彗星(12P)もハイランダーで観望することができました。口径4センチ程度の双眼鏡では、彗星の存在がわかる程度でしたが、ハイランダーを使用すると、彗星の核から延びる尾が薄っすらと見えました。観望地でご一緒した星仲間にもハイランダーの見え味は好評で、「大型ドブソニアンよりも彗星の尾がよく見える」と驚いていました。



K-Astec製 保持金具3点セットHLM-3P

HLM-3Pは、ハイランダーを自動導入経緯台などに搭載するための保持金具です。3つの金具が付属していますが、そのうちの2つを同時に使い、アングルモードとストレートモードのどちらかを選んでハイランダーに取り付けます。

今回はAM3赤道儀の経緯台モードを使用するため、アングルモード用の金具2つを使用しました。なお、HLM-3Pに付属するアリガタプレートは3インチ仕様なので、アリミゾ金具の仕様が合えば、AM3以外の赤道儀にも取り付けることができます。

HLM-3Pは、ハイランダーの底部に設けられたカメラネジを介して固定します。ネジ1本での固定は不安に感じましたが、ハイランダー専用設計で作られているためか、ネジ1本でもしっかりと固定でき、緩むことはありませんでした。金具自体の強度も高く、双眼鏡をどの方向に向けてもガタつくこともありませんでした。



AM3赤道儀に載せての観望は快適

ハイランダーをAM3赤道儀に載せて、経緯台モードで星空観望を楽しみました。

経緯台モードの設定方法は、「AM赤道儀の経緯台モードの設定ページ」をご覧いただければと思いますが、一点注意が必要なのは、HLM-3Pをアングルモードで取り付けると、双眼鏡が向く方向が通常とは90度が変わってしまうことです。そのため、事前にAM3赤道儀のアリミゾ金具を一旦外し、90度回して取り付けなおしておきましょう。

また、経緯台モードでは左右のバランスが崩れやすいので、AM赤道儀にバランスシャフトを取り付け、バランスウェイトを載せて安定させましょう。

AM3赤道儀の付属のジョイスティックコントローラーを使って、ハイランダーで天体観望をしたところ、実に快適に天体観望を楽しむことができました。AM3の力強いモーターで、双眼鏡をあっという間に望む方向に向けることができました。

また、ジョイスティックの速度を変更すれば、双眼鏡を覗きながら徐々に視野を動かすこともでき、今まで手動で行っていた時よりも、正確かつスムーズに動かすことができます。これはそれまで経験したことのない感覚で、これだけのためにでも保持金具を使う価値はあると感じました。



プレートソルビングで自動導入

ジョイスティックを使っての天体観望も楽しいですが、位置がわからない暗い天体を探す際は自動導入機能を使うと便利です。AM3赤道儀なら、ASIAIRのプレートソルビング機能を使用すれば、ほぼ完璧に目標天体を導入することができます。

ASIAIRを使うため、HLM-3P金具に開いているネジ穴を利用し、ZWO製のファインダー・シューを介してAskar製の32mm F4ガイドスコープを取り付けました。カメラはZWOのASI715MCを使用しています。

プロミナーとガイドスコープの光軸を合わせた後、タブレットにインストールしたASIAIRアプリから自動導入を実行すると、双眼鏡が目標天体に向かって動き出します。

目的の方向に向いて赤道儀のモーターが止まると、ASI715MCが撮影を開始し、プレートソルビングが行われます。星図との同定が終わり、赤道儀の微動が終了すると、双眼鏡の視野内に入力した天体が導入されていました。

プレートソルビングを使用すると、これまで手動では導入できなかった天体も簡単に視野内に入れることができ、プロミナーで観望を楽しむことができます。是非、プロミナーの性能を最大限発揮できるプレートソルビングも体験してみてください。



まとめ -新感覚の楽しさ-

ハイランダーとAM3赤道儀の組み合わせは、大型双眼鏡での天体観望をとても快適にしてくれました。操作感も良好で、ジョイスティックで赤道儀を自在に動かしていくのは、新しい体験とも呼べるものでした。

20年以上天文ファンに支持されているハイランダーの光学性能はやはり伊達ではなく、色収差の感じられないシャープな像と広い視界は、宇宙への没入感を得られます。星雲星団から彗星の観望まで、幅広い対象を高度に楽しめる双眼鏡でしょう。

ハイランダーは、光学性能を追求した結果、8センチクラスの双眼鏡としては高価ですが、価格に見合う高性能な双眼鏡と言えます。長く使用できる本格的な大型双眼鏡を探している方には、是非お勧めしたい双眼鏡です。




レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。

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