2023 秋の天体観測ガイド

秋の天体観測ガイド


秋の夜長は天体観測にうってつけのシーズンです。 前半には秋雨前線の停滞や台風の影響などで秋の長雨に見舞われることも少なくありませんが、後半木々が紅葉で赤く染まり始めるころには、抜けるような秋晴れの空が姿を現すようになります。この頃には夜の時間がぐっと長くなるうえ、空気が乾燥し透明度がグングン向上していきますので天体観測には格好のシーズンとなります!

秋の夜空を見上げれば、西には夏の名残の星座(はくちょう座)が輝き、東からは冬の星座(おうし座)が顔を見せ始めています。空高くにはカシオペア座やアンドロメダ座があり秋を印象づけています。

夏の間に月や、土星・木星といった惑星など、太陽系の天体を経験された入門者の方は、ぜひ次のステップとして星雲や星団の観望・撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか?この時期に観望が楽しめる星雲・星団の例としては、M31アンドロメダ銀河、H-χ二重星団、M45プレアデス星団などがあります。大口径の双眼鏡を用たり、フィルタワークを駆使すれば網状星雲も眼視挑戦が可能な対象です。 撮影ならそれらに加え、ケフェウス座のIC1396、ペルセウス座IC1805、ぎょしゃ座のIC410/IC405など、近赤外域のHα線を発する赤い星雲が好対象となります。

お好みの天体を、用途にあった機材を選択してしてお楽しみください!




南の方角を観測すれば星々は東から昇り西へと沈む、太陽と同じような動きで移動します。惑星観測から始めた初心者の方にはこの星の動きになじみがあると思いますが、くるっと180度回転して北の方角を向いてみれば、星々は北極星を中心に反時計回りをする動きになります。上図ではM31アンドロメダ銀河の位置がほぼ天頂です。

ヒント→ 上記星図は11月15日午後8時ものです。月と惑星以外のすべての星の位置は、日時が1か月進めば、観測時刻を2時間早めることでほぼ同じになります。  ◎恒星の位置 : 10月15日午後10時 ≒ 11月15日午後8時 ≒ 12月15日午後6時

星図:ステラナビゲーターで作成


眼視・撮影向き 撮影向き
・網状星雲
・H-χ二重星雲
・M45プレアデス星団

・M31アンドロメダ銀河
・北アメリカ・ペリカン星雲
・ガーネットスターとIC1396
・ハート&ソウルIC1805・IC1848
・勾玉星雲IC405・IC410


ペルセウス座
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おうし座の北~ぎょしゃ座
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ペルセウス座の全景です。
右上の赤い散光星雲はIC1805ハート星雲/IC1848ソウル星雲で、その少し右下には二重星団があります。左下の赤い散光星雲はNGC1499カリフォルニア星雲です。
105mm+ペンタ67銀塩での作品ですがAPS-C機+50mmレンズでも、ほぼ同等の画角が得られます。
おうし座の北からぎょしゃ座にかけての領域です。
左の赤い星団がIC405勾玉星雲、右がカリフォルニア星雲です。右下の青い散開星団はM45プレアデス星団です。
105mm+ペンタ67銀塩での作品ですがAPS-C機+50mmレンズでも、ほぼ同等の画角が得られます。
網状
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はくちょう座の超新星残骸です。特に明るい写真左側NGC6992は眼視挑戦が可能な星雲として知られます。
ドブソニアン望遠鏡や、望遠鏡2本を使って作成する対空双眼望遠鏡に、OIIIなどのネビュラフィルターを組わせて挑みます。
写真にとれば赤と青緑の対比が美しく、超新星爆発による微細なフィラメント構造が観測できます。

撮影光学系:タカハシ ε-180ED
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセンAXD赤道儀にて追尾、ステラショット、M-GENにてオートガイド追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、
RAWモード、IDAS UIBAR-Ⅲフィルター
露出時間:180秒×12コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影
M31
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網状
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私たちが住むこの天の川銀河の、お隣さんの銀河です。7倍程度の双眼鏡でも中心の明るい部分が眼視できます。 写真にとると見事な腕の広がりが撮影でき、その広がりの大きさは満月5つ分ほどもあります。 アンドロメダ銀河は現在、私たちの天の川銀河へ向かって進んでおり、約40億年後には衝突し融合するそうです。

撮影光学系:タカハシTOA-130、レデューサーレンズ使用
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセンAXD赤道儀、ステラショットにてオートガイド追尾
カメラの設定:ホワイトバランスマニュアル、ISO1600、IDAS UIBAR-Ⅲ
露出時間:420秒×8コマ
画像処理ソフト: ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所: 岡山県備前市吉永町、2017年撮影
ガーネットスターはケフェウス座の変光星で、その正体は直径が太陽の約1500倍もある赤色超巨星です。 あまりに赤いため宝石の名になぞらえて「ガーネットスター」と名付けられました。 その南側に広がる赤い星雲がIC1396です。 恒星と星雲の色の対比がとても美しく、長時間観測できる北天に位置するため、撮影の好対象になります。

撮影光学系:タカハシ ε-180ED
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセン AXD赤道儀にて追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード
露出時間:240秒×12コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影
網状
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写真右側の星雲がIC1805で、心臓のような形をしていますので「ハート星雲」という愛称があります。
左側のIC1848は胎児のような形をしていることから日本では「胎児星雲」とも呼ばれます。
母体に宿った魂ということなのか、Heart & Soul(英語で、心と魂=熱心に打ち込むの意)の語呂がいいのか、海外では「ハート&ソウル星雲」と呼ばれることが多いです。

撮影光学系:コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (TX07使用, 350mm F4)
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセン SXP赤道儀 にて追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード
露出時間:240秒×13コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影
ぎょしゃ座の星雲星団
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ぎょしゃ座は日本では11月の2時ごろ、12月の0時ごろに天頂付近を通過します。観測条件が良いため、写真写りの良い星域です。
コーワプロミナー350mmF4とフルサイズカメラを組み合わせれば、左に2つの淡い散開星団M36/M38、右に散光星雲IC405/IC410を配したご覧のような構図が完成します。
この付近は冬の天の川にあたりますので星がびっしりと集まり、その星々の色は様々で表情豊かなことも特徴です。

撮影光学系:コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (TX07使用, 350mm F4)
撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D フィルター換装・冷却改造モデル)
赤道儀:ビクセン SXP赤道儀 にて追尾
カメラの設定:ホワイトバランス 手動設定、ISO1600、RAWモード
露出時間:240秒×13コマ
画像処理ソフト:ステライメージ8、PhotoshopCC 2015
撮影場所:岡山県備前市吉永町 八塔寺、2018年撮影


難易度: 易 ★☆☆☆☆ 難易度: やや易 ★★☆☆☆
難易度: 並 ★★★☆☆ 難易度: やや難 ★★★★☆ 難易度: 難 ★★★★★


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