実際に惑星を撮影してみよう

実際に惑星を撮影してみよう

惑星用カメラを使用すれば意外と簡単に撮影できますので、普段は眼視派だという方もぜひ一度お試しください。


QHYCCDの惑星撮影用カメラQHY5III-290Cで撮影した木星です。 惑星撮影カメラの元データはこのような動画ファイルになっています。( 高倍率のため、架台の揺れや揺らぎが影響し、木星の位置が微妙に動いてしまっている様子が見られます。)

参考)これは1440x1080サイズ・フレームレート30枚/秒で撮影した35秒間の動画ですが、これだけでもファイル容量は4.6GBにもなります。この大容量のデータを引っかかり無く取り込むためには、高速なUSB3.0を搭載したパソコンが必要です。また記憶媒体がSSDなど高速なものであれば、USB3.0から流し込まれる大容量のデータをスムースに取り込むことができますので有利です。

もし、USB2.0を使用するなど転送速度が不十分であった場合、撮影自体はできますがフレームレートが下がって取り込めるデータ量が減りますので、”スタッキング処理”(以下で説明します)に使う素材となるフレーム数が稼げません。特に高速な自転をする木星などは数分で模様が変わってしまいますので、充分なフレーム数を短時間で取得することが画質向上につながります。

惑星用CMOSカメラで一般的な1/3インチセンサー(対角6mm)での撮影は、35mm版フルサイズ換算すればおよそ7倍のクロップになります。例えば、20cmシュミカセ(焦点距離2000mm)に3倍のバローレンズを使用してF30(=焦点距離6000mm)にするという、惑星撮影においてごく一般的なセットアップでこのような惑星用CMOSカメラを用いた場合、フルサイズ換算では 6000mm x 7倍 = 42000mmもの直焦点撮影に相当する倍率になっています。

もし、このような状況でデジタル一眼レフのようなスチルカメラを用いて単純に35秒露出したとすれば、像は大きくずれて重なってしまい、ぐちゃぐちゃの写真になってしまうはずです。ずれないように高度なガイドを行おうとしても、大気の揺らぎすら大きく影響しますので、どんな高精度の赤道儀を使い、どんな優秀なオートガイダーで補正したとしても、惑星をピタリと止めることは困難です。左はそのイメージを表現するために、動画中の10コマをコンポジットしたものです。木星は揺れて画面上の位置が常に変わりますので、像がきれいには重なりません。

惑星撮影にとって革命的な発明となったのが、オランダのCor Berrevoets氏らによって公開されたRegistaxというソフトでその手法は”スタッキング処理”と呼ばれます。その後AutoStakkert!2など同種のソフトが生まれました。

動画は、たくさんの静止画が並んだパラパラ漫画のような構造になっています。AutoStakkert!2のようなスタッキングソフトは、まず動画を大量の静止画に分け(=フレーム化)、一枚一枚の画像の模様を分析して自動で位置を修正し(=アライメント)、重ね合わせ処理(=スタッキング)をしてくれます。背景が単純な「真っ黒」でいい惑星写真だからこそ成り立った手法です。

しかも、惑星を観望していれば実感する通り、シーイングは刻一刻と変化し、鮮明に見える瞬間とそうでない瞬間があります。スタッキングソフトは不適格なコマは除去して良質な画像だけを選別(=画像評価)して重ね合わせしますので、より鮮明化されるのです。

処理が終わると、まるで木星がピタリと静止していたかのように滑らかな画像が得られました。

お好みで画像処理を行えば完成です。この画像は上記1枚の画像を強調処理(Abobe Photoshopでシャープネスをかけて模様を浮き立たせてから、トーンカーブ調整で緑っぽさを除去)を施したものですが、画像処理の方法は様々です。

その他にもRegistaxを使用してウエーブレット変換を行う、 ステライメージ8を使用してマルチバンドシャープや画像復元処理を行う、など様々な手法が用いられています。スタッキングした画像を複数枚コンポジットして繊細な画像処理を行えば、さらに滑らかな画像が得られるでしょう。



AutoStakkert2を使って自動でスタッキング処理


AS!2による自動スタッキング処理が終われば、最後に画像処理(
強調処理)を施して完成です。
画像処理については近年、国内外の写真家の方々が惜しみなくその情報を公開されています。
例)
吉田隆行氏の天体写真ギャラリーサイト「天体写真の世界」 → (外部サイトへリンクします)



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(2020 KYOEI大阪店)

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■惑星用CMOSカメラの画角

惑星はとても小さいので、大きなイメージセンサーを持つデジタル一眼レフカメラで撮影しても、そのごく一部の画素しか使用できません。そんなこともあって惑星用CMOSカメラの多くは1/3インチ前後の小さなセンサーを搭載しています。
デジタル一眼レフをお使いの方なら、APS-C機(対角27mm程度)で撮れば、フルサイズ機(対角43mm)の1.5倍か1.6倍の拡大になるということをご存知だと思います。
ASI224MCやASI290MCなどが搭載する約1/3インチ(対角6mm程度)のCMOSカメラで撮影すれば、それはおよそ7倍もの拡大になります。

実際に惑星を撮影してみよう


■惑星を撮影する焦点距離・F値

フォーマットの小さな惑星用カメラを使用すれば惑星を強拡大できることはわかりました。では、どれくらいの焦点距離にすれば、どのくらいの大きさに写るのでしょうか? 下記に各惑星の大きさの目安をご紹介します。
焦点距離が短すぎては迫力不足ですが、拡大しすぎても解像感が落ちてしまいます。雑誌やネット上で発表される素晴らしい惑星写真を拝見しますと、良質なバロー光学系を使用し、カセグレンなどの反射望遠鏡でF20~F40、フローライトやEDのアポクロマート鏡筒でF30~F50程度に設定して良好な結果を得られているケースが多いようです。
例) F10のシュミカセに3倍バローを組み合わせてF30、F7~F8のアポ屈折に5倍バローを組わせてF35~F40など。
1/3センサーでの写り方

1/3センサーでの写り方
ZWOのASI224MCやASI290MCは、赤外域まで高い感度を持っています。惑星撮影においてはこれが災いしていることがあり、IR/UVカットフィルタで可視光の外の波長をカットすることで、ぼやけた像を改善できる場合があります。 また、大気差による色ずれを補正するウエッジプリズムとしては、お求めやすい価格のZWO「ADC」があり、特に低空の惑星像の改善に用いられています
IR/UVカットフィルター ADC1.25大気分散補正プリズム





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