ビクセンVA225Cオートガイダーの インプレッション

ビクセンVA225Cオートガイダーの
インプレッション

ビクセン VA225C は、天体望遠鏡メーカーの株式会社ビクセンが販売する、天体写真撮影用のオートガイダーです。同社の専用アプリケーション「Vixen Autoguider」(以下:VAソフト)を使用することで、初心者でも手軽にオートガイド撮影を始めることができます。

今回は、VA225C のデモ機をお借りし、実際にフィールドへ持ち出して天体撮影に使用しました。VAソフトの使い勝手や機能性について検証し、実際の使用感を詳しくレビューします。


VA225CとVAソフトの概要

VA225C は、オートガイド用のCMOSカメラです。約120万画素の解像度を持つSONY 製の IMX225 センサーが搭載されており、低照度下でもノイズが少なく、オートガイド用途に適しています。

カメラ背面には USB 端子と ST-4 互換のガイドポートが装備されており、付属の USB ケーブルを使ってパソコンと接続し、ガイドケーブルで赤道儀のオートガイドポートに接続します。ST-4 ガイド信号は多くの赤道儀と互換性があるため、ビクセン製以外の赤道儀でも大抵使用可能です。

VA225C をオートガイドに使用するには、ガイド鏡(ガイドスコープ)が別途必要になります。今回は、ビクセン推奨の「暗視野ファインダーII 7倍50mm(以下:ビクセンファインダー)」を使用しましたが、他社製のガイドスコープでも使用可能です。

VA225C を使うには、専用のVAソフトを使用します。VAソフトはビクセン公式サイトから無料でダウンロード可能で、Windows 7、8、10、11 に対応しています。インターフェースは日本語で統一されており、ガイド星の自動選択、キャリブレーションの自動化、露出時間の設定、追尾グラフの表示など、オートガイドに必要な機能がシンプルにまとめられています。


VAソフトのインストールと画面構成

VAソフトはインストーラー形式で提供されており、指示に従って進めるだけで簡単にインストール可能で、特別なドライバのインストールも必要ありません。

インストール後に VAソフトを起動し、VA225C カメラを USB ケーブルでパソコンに接続すると、自動的にカメラが認識されます。汎用オートガイドソフトである PHD2 のように、複数の機器の中からカメラを手動で選ぶ必要がないため、初心者でも迷うことなくガイド撮影の準備に進むことができます。

VAソフトのインターフェースは、直感的で使いやすいレイアウトになっています。画面の左側には、VA225C カメラが捉えている星空の映像がリアルタイムで表示されます。画面右側には各種設定パラメーター、左下にはガイドグラフが表示され、現在のガイド状況を視覚的に確認することができます。

VAソフトは必要な情報が一画面に集約されており、ウィンドウの切り替えなども不要です。


オートガイドの基本的な手順

オートガイドを始めるには、まず右上にある「プリセット」から、観測環境に適した設定を選択します。プリセットの選択肢は「都会」「郊外」「満天」の3種類で、空の暗さや星の見え方に応じてガイド感度などの内部設定が自動で設定されます。

プリセットを選ぶと、VA225C が映し出す星空のライブ映像が画面に表示されます。星がぼやけて映る場合は、ガイド鏡のピントを調整してシャープに映るように合わせます。

次に、右下の「ガイド星選択」ボタンをクリックします。カメラが自動的に使用可能なガイド星を検出し、四角い枠で囲って表示します。その中から1つの星をクリックで選択すると、選んだ星が右上に拡大表示され、キャリブレーション(方位と動作方向の調整)が開始されます。

キャリブレーションには数十秒程度かかり、完了すると自動的にオートガイドが開始されます。同時に左下のガイドグラフがリアルタイムで動作し、ガイドの補正状況や精度を確認することができます。


天体撮影でのガイド精度

ビクセンSXD2赤道儀とビクセンSD103S望遠鏡をセットし、VA225C と VAソフトを使って天体撮影を行い、ガイド精度を確かめました。

下は、露光時間300秒で撮影したヘルクレス座の球状星団M13の画像(中央部をトリミングしています)です。合計8コマ撮影しましたが、すべて星は点像を保っていました。SD103Sの焦点距離は約810㎜ですので、焦点距離約160㎜のビクセンファインダーを使っていることを考えれば、ガイド精度として十分と言えるでしょう。

ただ、ガイド鏡の固定方法には注意が必要だと感じました。今回はガイド鏡としてビクセンファインダーを使用しましたが、このファインダー脚の取付部分には若干の公差があり、固定ネジをしっかり締め込まないと長時間の撮影ではガイド鏡が緩んでしまうようです。今回の撮影では問題は生じませんでしたが、ビクセンファインダーを使用する場合は、取り付けにご注意ください。


気になった点

ガイド精度には問題ありませんでしたが、実際にVAソフトを使っていると、いくつか気になる動きや改善してほしい点も見受けられました。

  • キャリブレーションの再実行が頻繁に必要
  • ガイド星の輝度検出と安定性
  • マルチスターガイドには非対応
  • 手動ガイド機能について

極軸支援機能について

極軸望遠鏡を使用した場合に比べて調整に時間がかかるものの、より正確に極軸を追い込むことができました。ただし、北極星が見えない環境では使用できません。


まとめ

VA225C と VAソフトの組み合わせは、ビクセン製ならではの初心者にも扱いやすいシンプルな操作性が魅力です。一方で、改善の余地もいくつか見受けられました。純正ソフトとカメラの安定した動作、日本語対応のサポート体制は、初めてオートガイドに挑戦するユーザーにとって心強いでしょう。




レビュー著者
吉田 隆行氏  ホームページ「天体写真の世界」
1990年代から銀塩写真でフォトコンテストに名を馳せるようになり、デジタルカメラの時代になってはNHK教育テレビの番組講座や大手カメラメーカーの技術監修を行うなど天体写真家として第一人者。天体望遠鏡を用いた星雲の直焦点撮影はもちろんのこと星景写真から惑星まで広範な撮影技法・撮影対象を網羅。天体撮影機材が銀塩写真からデジタルへと変遷し手法も様変わりする中、自身のホームページで新たな撮影技術を惜しげもなく公開し天体写真趣味の発展に大きく貢献した。弊社HP内では製品テストや、新製品レビュー・撮影ノウハウ記事などの執筆を担当している。

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