電視観望 超初級編

■まず電視観望とは?
近年、夜空の星雲や銀河をその場でモニターに映して楽しむ「電視観望」が人気を集めています。電視観望とは、天体望遠鏡に接眼レンズを差し込む代わりに、 CMOS カメラを取り付け、パソコンの画面に天体の姿を映し出して楽しむ観望方法です。通常、肉眼で天体観測をする場合は人間の眼の能力には限界があるため、 星雲はグレーがかった雲のように見えます。しかし、 CMOS カメラ(カラー)を使用することでライブで鮮やか な星雲星団を観測することができます。
電視観望では、感度の高いCMOS カメラを使用して短い露光時間で撮影した画像を重ね合わせた画像をパソコン 画面上に映します。そのため焦点距離の短くF値の明るい小口径の望遠鏡でも短時間で撮影が可能となります。 また、光害の多い都会でもフィルターを装着すれば、手軽に観測を楽しむことができます。
電視観望の5つの魅力と特徴
■電視観望に必要な基本機材
![]() ①鏡筒 |
![]() ②架台(赤道儀) |
![]() ③CMOSカメラ |
![]() ④PC |
鏡筒・CMOS カメラ・赤道儀は様々なメーカーから用途に応じてを、組み合わせは無限大です。ご予算や、何を撮影したいかによって組み合わせは異なりますので、下記をご参考にご検討ください。 鏡筒とCMOSカメラの組み合わせは主に観望対象が「惑星」か「星雲星団」であるかで機材の選択が変わります。 「惑星」からスタートしたい場合はこちらをご参考ください。
電視観望を手軽に始めたい方には、以下のようなオールインワン機材がおすすめです
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ZWO SeeStar S50
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■CMOSカメラの基本
■CMOSカメラのセンサーサイズとは?
カメラにはセンサーサイズがあり、望遠鏡の焦点距離と CMOS カメラの組み合わせで画角が決まります。
そのためセンサーのサイズが大きいほど広い写野となります。広い写野であればあるほど、目的の天体を導入しやすくなるので、初心者の方にはセンサーサイズの大きなカメラがおススメです。
センサーサイズが大きくなればなるほど、高価になりますが写野の広さを生かした広がりのある天体(アン ドロメダ銀河など)の撮影に向いています。逆にセンサーサイズが小さい CMOS カメラの場合はが土星や木 星などの惑星に有利となります。ただ、鏡筒の焦点距離によって画角が変わりますので、まずは望遠鏡の焦 点距離とセンサーサイズによる画角のシミュレーションを行いましょう 。シミュレーションはステラナビ ゲーター(有料)などで行うことができます。下記はステラナビゲーターで①短焦点距離 250mm ② 中焦点距離 400mm 、③長焦点距離 1000mm 以上でシミュレーションした結果です。 ※ NGC7000 は吉田隆行氏撮影写真をお借りしています。
REDCat51 Fl=250 mm | RASA Fl=400 mm | C8SCT F6.3RD Fl=1260 mm |
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北アメリカ ペリカン |
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M42 オリオン大星雲 |
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M57 リング星雲 |
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▲各画像クリックで拡大表示 |
組み合わせによっては写野からあふれてしまう、もしくは小さすぎるなどがありますので、撮影したい天体に合
わせて鏡筒の焦点距離、 CMOS カメラのセンサーサイズを選ぶのがおすすめです。
■カラーor モノクロ
カラーカメラはカラー合成処理が必要ないため、お手軽に撮影を楽しむことができます。反対にモノクロカ
メラは何種かのフィルターを介して撮影した画像を重ね合わせて画像処理が必要となります。カラーカメラ
では表現できないような色彩を表現することが出来て高性能ですが上級者向きです。電視観望を行う場合にはカラーカメラがおすすめです。
■冷却or 非冷却
冷却カメラは撮影の際に発生するノイズ(主にダークノイズ)を減少させるため、冷却機能を搭載していま す。センサーサイズの大きいカメラが多く、価格も高価になり、別途電源が必要となります。 非冷却カメラはセンサーサイズは小さいですが、安価で別途外部電源を用意する必要なくお手軽に撮影が可能です。
電動フォーカサーEAFは必ずしも必要ありませんが、タブレットやスマホ上で遠隔でピントを合わせることができ、便利です。AF機能も使用できるので、是非お勧めしたい機器です。また、天体撮影を行う場合は、この他にZWO社のオートガイダーが必要になります。
非冷却カラー | 冷却カラー | ||
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ZWO ASI 585MC
(カラー/非冷却モデル) センサーサイズ 1/1.2 インチ で天体の導入がしやすい、高コストパフォーマンスのカメラ。その他 非冷却カメラは▶こちら |
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ZWO ASI2600MC Pro (カラー/冷却モデル) センサーサイズAPS-Cで焦点 距離500mmの望遠鏡の組み合わせで代表的な天体を抑えることが可能。その他 冷却カメラは▶こちら |
■フィルターワーク
観測対象の天体に応じてフィルターの装着をお勧めします。
・IR/UV カットフィルター
赤外線(IR)、紫外線(UV)をカットするフィルターです。人間の眼で観測できる波長域を透過します。
系外銀河や球状星団など連続光を発する天体におススメです。
・光害カットフィルター
都会など水銀灯、LED灯の光をカットするフィルターです。
・ナローバンドフィルター
輝線星雲や惑星状星雲などの天体が発する
Hα、SII、OIIIの狭い範囲の光のみを透過させることで、写りにくい淡い天体のコントラストを高めるフィルターです。
おススメフィルター
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ZWO IR/UV カットフィルター1.25” 赤外線および紫外線をカットします。人間の眼で見える可視光線のみ透過します。 |
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アイダス LPS-D3 ZF 人工光害と共に自然発光 する大気光 夜天光 も抑制する世界初の光害カットフィルターです。その他 アイダス製フィルターは▶こちら |
電視観望におすすめ鏡筒
通常の天体観測ではなるべく多くの光を集める口径の大きな鏡筒が有利となりますが、電子観望では CMOSカメラの感度が高いため、 F 値が明るく口径の小さい鏡筒でも十分楽しむことができます。また、口径が小さい=鏡筒本体も小さいため、 よりお手軽な観測が可能となります。
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ウィリアムオプティクス RedCat51 WIFD(RedCat51III)
話題の3群4枚ペッツバール式鏡筒 新たに使いやすく改良されたリ ニューアルWIFD型インナーフォーカサー仕様の第三世代モデル。 本体にビルドインされた鏡筒バンドには、ビクセン規格とアルカスイ ス規格に対応したデュアルアリミゾプレートが標準付属。 有効径:51mm 焦点距離:250mm F値: 4.9 重量:1.77kg |
他にもこんな鏡筒がおススメです!
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Askar FMA180pro
2枚のEDレンズを含む3枚玉 アポクロマート式を採用した 高コストパフォーマンス鏡筒。 有効径:40mm 焦点距離:180mm F値: 4.5 重量:800g |
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ビクセン VSD70SS鏡筒
ビクセン社のフラグシップモデルVSD90SSのコンパクトモデル。素の状態でも抜群の光学性能により初心者の方でもハイレベルな写真の撮影が可能。 有効口径:70mm 焦点距離:385mm F値: 5.5 重量:3.5kg |
■電視観望におすすめの赤道儀
まず、赤道儀の購入ガイドはこちら(さらに詳しく赤道儀購入ガイド~続編) をご覧ください。また、ZWO社のCMOS カメラを使用する場合、今後の発展も考えてASIAIRPlusとの相性も確認していきたいところです。
ASIAIR Plusとは?パソコン不要でタブレット端末で簡単に電子観望を可能にするZWO社のWi-Fiデバイスです。手のひらサイズのASIAIR一つで、赤道儀制御から撮影まで一貫して行うことができます。ただし、すべての赤道儀が対応しているわけではありませんのでご注意ください。また、ZWO社のCMOSカメラのみに対応しております。
パソコン不要でタブレット端末で簡単に電子観望を可能にする
ZWO社のWi-Fiデバイスです!
最新の(eMMC embedded MultiMediaCard)を内蔵し、Wi-Fi経由で「 ASI USB 3.0 カメラ
ASI Mini シリーズを含む)」、「自動導入赤道儀」を制御してスマートフォンやタブレット端末で統合制御可能なスマート Wi-Fiデバイス。コードレスでスマートな電子観望
をサポートします。
※ZWO CMOS カメラのみに対応しています。
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ASIAIR mini |
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ASIAIR Plus 32G |
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ASIAIR Plus 256G |
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超コスパ!超軽量! スカイウォッチャー Star Adventurer GTi マウント三脚セット Star Adventurer GTiは、マウントの質量がわずか約 2.9kg でありながら、 自動導入機能を備えた小型軽量赤道儀です。 Wi-Fi モジュールを内蔵しており、専用の SynScanPro アプリ( Android / iOS / PC )をインストールしたスマートフォンやタブレット端末から操 作できます。お好みの天体はもちろん、見つけにくい星雲、星団、銀河なども簡単に観測できます。 最大搭載重量:5kg 赤道儀重量:約2.9kg ハンドコントローラーなし |
![]() ![]() 売 れ て ま す ! |
ZWO製波動歯車装置搭載赤道儀 ZWO AM5 2022 年春発売のウェイトレスでも 13kg の搭載重量を誇る ZWO 社の波動 歯車装置搭載赤道儀。 AM5のレビューについてはこちら( https://www.kyoei osaka.jp/hpgen/HPB/entries/448.html )をご覧ください。 よりコンパクトなモデルAM3はこちら( https://www.kyoei osaka.jp/SHOP/zwo am3.html) 最大搭載重量:8kg (カウンターウェイト未使用時) 13kg(カウンターウェイト使用時 ) 赤道儀重量:4.7kg |
よくいただくご質問
Q.電子観望用セット商品はありますか?
▶オールインワンタイプはZWO社から新発売のZWO SeeStar S50もしくはSeestar S30です。
Q.
惑星も星雲星団も見たいのですが 1 つの CMOS カメラで可能ですか?
▶センサーサイズが大きく変わってきますので、惑星用は惑星用として別途ご用意をおすすめしております。
Q. PC
、タブレットはどのようなものを用意すればいいですか?
▶ここ数年に販売されたモデルであれば、問題なくご使用いただけると思います。
まずはお手持ちの
PC 、タブレットでお試しください。
Q.
都会の家のベランダでも使用できますか?
▶CMOS
カメラの感度は人間の眼よりも高く、スタッキング技術も活用するため、都会のベランダでも楽しめま
す。ナローバンドフィルター(例: NBZ-II フィルター、 GNB フィルターなど)を用いれば、さらによく映ります。
Q.
電源はどのように用意すればいいですか?
▶AC アダプター、ポータブル 電源をご用意ください。当店で取り扱いの商品はこちら( https://www.kyoei
osaka.jp/SHOP/celestron-powertanklithium-pro.html )です。
コチラの記事もご覧ください!
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